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米240兆円経済対策、当面の「暴風雨」しのぐ 長期化なら力不足か

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経済対策法案への署名後、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長にペンを渡すトランプ米大統領=27日、ホワイトハウス(AP)
経済対策法案への署名後、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長にペンを渡すトランプ米大統領=27日、ホワイトハウス(AP)

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米政権が空前の規模となる経済対策をまとめたのは、新型コロナウイルス感染拡大で見込まれる未曽有の景気失速に備えるためだ。すでに膨大な失業者が生じ、企業倒産の連鎖も現実味を帯びるが、2兆2000億ドル(約240兆円)規模に達する対策で、当面の“暴風雨”をしのげる期待が出てきた。ただ、感染終息まで長引けば景気低迷も長期化し、追加的な大型対策の実施が求められる恐れもある。

 トランプ米大統領は27日の経済対策法案への署名式で、「『兆』が書かれた書類にサインしたことはないな」と上機嫌で話し、「ウイルスが去ったら景気は急回復する」と力を込めた。

 トランプ政権と議会与野党が成立を急いだ景気対策は、現金給付で個人消費を下支えし、航空大手などの大企業と、中小企業それぞれを資金繰りなどの面から側面支援する。一方、人員や資材が不足する医療現場にも体制拡充に必要な予算を配分し、幅広い分野に目配せした包括的な政策パッケージとなった。

 感染拡大の悪影響は、好調な雇用と消費が支えてきた米国経済の姿を一変させようとしている。労働省によると、21日までの週の失業保険申請件数は328万3000件と、1982年10月の過去最多(69万5000件をはるかに上回った。

 また4~6月期には二桁台のマイナス成長となると予測され、今月に入り株式市場は急落が続いた。今回の経済対策法案が成立する期待感から、このところの米株式相場は好転してきたが、投資家はすでに「景気の底がいつまで続くか」に目を向けている。

 米国の感染者数は10万人を超え、なお急ピッチで増加中だ。米政権や各州当局による感染症の封じ込め策が成功しなければ、経済活動を制約する外出規制や外食自粛などの感染症対策も継続される。「V字」回復とならずに、景気の底がしばらく続く「U字」回復となりかねない。

 その場合、新たな経済対策が求められる可能性も出てくるが、本来、米政権に巨額予算を組む余地は乏しい。2020会計年度(19年10月~20年9月)の財政赤字はすでに1兆ドルを超えており、財政面で手足が縛られている格好だ。

 また、経済活動の急停止にともなって金融市場に変調が現れており、米連邦準備制度理事会(FRB)はコマーシャルペーパー(CP)の買い取りといった緊急策に矢継ぎ早に乗り出している。今後、本格化するとみられる企業の資金繰り悪化などを受けて、市場でお金の流れが目詰まりを起こすリスクが残っている。米政府とFRBは、実体経済に対する打撃緩和と、市場安定化の双方で、窮地をしのぎ切れるか正念場が続く。

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