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米政権、欧州の爆発的感染に危機感 対中国の共通戦略不在響く

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 11日、米ニューヨークの地下鉄で、新型コロナウイルス対策として消毒作業をする清掃員(ゲッティ=共同)
 11日、米ニューヨークの地下鉄で、新型コロナウイルス対策として消毒作業をする清掃員(ゲッティ=共同)

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領が11日、外国人が欧州諸国から米国に入国することを停止すると発表したのは、欧州で新型コロナウイルスへの感染が爆発的な速度で拡大していることに危機感を強めたためだ。一方、中国のデジタル覇権への米欧の対応の違いに象徴されるように、米欧間に共通の対中政策が存在しないことが、米政権が厳格な措置に踏み切る素地になった。

 トランプ氏は大統領執務室からの国民向け演説で、米国が新型ウイルスの発生源である中国や感染拡大国からの渡航を早々に制限したのに対し、欧州連合(EU)は入国制限に踏み切らず、欧州域内での感染拡大を許したと批判した。

 同氏はその上で「欧州からの旅行者が持ち込んだウイルスによって米国内に新たな多数のクラスター(感染者の集団)が発生した」とし、今回の決定は「強硬ではあるが米国民の健康と幸福を守るために必要な措置だ」と強調した。

 入国停止の対象は欧州各国の出入国審査を撤廃した「シェンゲン協定」に加盟する26カ国にこの14日以内に滞在した外国人。米国人や近親者が米国籍を持つ人などは対象外になる。

 今回の措置は、中国本土とイランに14日以内に渡航した外国人の入国を禁じたのを踏襲したものだ。

 ただ、中国と欧州が決定的に違うのは、米政権が感染の隠蔽を図って事態を悪化させた中国共産党体制に深い不信を抱く一方、米欧は貿易摩擦を抱えつつも、自由と民主主義の価値観を共有する同盟国として信頼関係が存在することだ。

 問題なのは、米国にとって中国のハイテク覇権は安全保障上の脅威であるのに対し、欧州は中国との経済関係を重視するなどの認識の差異が原因で、米欧間で共通の対中戦略が構築できていないことだ。今回も対中防疫対策で共同歩調をとる基盤がなかったことが事態を深刻化させた。

 欧州の外交官がロイター通信に語ったところでは、入国停止に関し米政権から事前通告はなかったとされ、今回の問題が米欧の亀裂を広げる恐れも出ている。

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