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英EU 貿易交渉へすでに火花 EU離脱まで1週間 

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 9日、英ロンドンの議会前で欧州連合(EU)離脱に反対し、抗議する人々(ゲッティ=共同)
 9日、英ロンドンの議会前で欧州連合(EU)離脱に反対し、抗議する人々(ゲッティ=共同)

 【ベルファスト=板東和正】英国で欧州連合(EU)離脱実現に必要な関連法が23日成立し、1週間後の31日に離脱することが決定的となった。英国とEUは2月以降、自由貿易協定(FTA)の交渉に入る。だが、「公正な競争条件」の確保や「漁業権」などをめぐる協議は難航が予想され、双方はすでに火花を散らしている。

 「EUのルールに合わせることはしない」。英国のジャビド財務相は17日、英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、EUとFTAを結んでも、EUの規制には従うつもりはないと明言した。

 英国とEUは交渉にあたり、関税や輸入割当を設けないことを目指す姿勢だ。だが、EUはそのために、英国が環境、労働、税制、政府補助金をめぐる規制をEUと同等の水準にし、「公正な競争条件」を保つよう求めている。英国が規制を緩和・撤廃し、安い製品を輸出するようになれば、EU企業に不利になる。

 EUのフォンデアライエン欧州委員長は8日、ロンドン市内の講演で、「公平な競争条件がなければ(EUの)単一市場にアクセスはできない」と英国にくぎを刺した。

 欧州外交筋は英メディアに対し、英国がEUのルールから離れた場合、「新たな貿易障壁につながる」と警告。公平な競争条件が維持できなければ、EUが英製品に関税などを課す可能性があると示唆した。

 だが、ジョンソン英政権はEU離脱後、企業の自由競争を促進するため、EUよりも労働や税制などで規制緩和を進めたい考えだ。 英EUの交渉では「漁業権」も争点の一つだ。EUの共通漁業政策下では、加盟国は割り当てられた漁獲上限を守れば、他国の排他的経済水域(EEZ)でも漁ができる。英国の近海には豊かな漁場があり、EU加盟国の北大西洋全体での漁獲量の35%を英海域が占めている。

 英国の漁業関係者は自国海域で他国船が操業することに不満を募らせてきた。漁業権の問題はいわば英国が回復を目指してきた「主権」にかかわる問題。ジョンソン英首相は漁業海域を自国で管理する方針を示している。

 しかし、フランスやオランダなどの漁業関係者にとって、英海域での操業は事業継続に欠かせないとされる。フランスのマクロン大統領はこれまでに、英国が漁業をめぐって妥協しなければ、FTA交渉は遅れると強調している。ロイター通信は「漁業をめぐる交渉は長引き、場合によっては激しい論争となりそうだ」とも伝えている。

 一方、エリザベス女王の裁可により成立した離脱関連法案は、英EUが現状の経済関係を続ける「移行期間」の終了を12月末に設定した。このため、英EUはFTA交渉を約11カ月間でまとめられなければ、英EU間の貿易は世界貿易機関(WTO)の規則に従い、関税が発生する恐れがある。

 FTA交渉には数年かかることが多く、フォンデアライエン氏は「12月末までに包括的な貿易協定を締結するのは不可能」と強調。移行期間は6月末までに英国がEUに申請すれば、最長2022年末まで延長可能だ。ただ、早期の「完全離脱」を目指すジョンソン氏は現時点で関連法案を修正して延長することを拒否している。

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