PR

「EUとの新しい関係、1世代かかる」 英元副首相インタビュー

PR

マイケル・ヘーゼルタイン元副首相
マイケル・ヘーゼルタイン元副首相

 【ロンドン=板東和正】英国のマイケル・ヘーゼルタイン元副首相(86)は10日までに産経新聞のインタビューに応じ、1月末に英国が欧州連合(EU)から離脱する見通しを受け、「英国とEUの緊張状態は続き、新たな関係を築くには1世代かかるかもしれない」と述べ、自由貿易協定(FTA)交渉が長引く可能性を示唆した。英EUのFTA交渉が年内に締結しない場合、「(関税が復活する)合意なき離脱と同様の状況に陥るリスクが残されている」と危機感を示した。

 ヘーゼルタイン氏は、与党・保守党の元下院議員でサッチャー政権で国防相などを歴任後、次のメージャー政権で副首相を務めた。親欧州派として知られ、昨年12月の総選挙ではEU残留を有権者に呼びかけた。

 ヘーゼルタイン氏は、早期離脱を公約に掲げたジョンソン首相率いる保守党が総選挙で圧勝した結果について「非常に落胆した」と打ち明けた。ジョンソン氏が選挙後、離脱派と残留派双方の国民に向けて和解を求めたことについて「短期的には(和解は)まず無理だろう」と、国内分断が当面続くとの見解を示した。

 ヘーゼルタイン氏は、欧州統合に懐疑的だったサッチャー氏と対立を深めた経緯がある。ただ、サッチャー氏は、EUの前身の欧州共同体(EC)からの離脱を問うた1975年の国民投票で、英国への経済的な影響を配慮して残留を主張した。ヘーゼルタイン氏は「サッチャー氏とジョンソン氏はEUに対して同じ感情を抱いていたかもしれないが、両者は大きく異なる判断をした」と比較。「離脱は英国の(経済的な)利益に反する」とジョンソン氏の方針を批判した。

 また、ジョンソン氏が、離脱後の激変緩和のために現状の英・EUの経済関係を12月末まで続ける「移行期間」を延長しない方針を示していることについて、移行期間中にEUとのFTAが締結できず、英EU間で関税が発生する場合は「移行期間を延ばす必要がある」と主張した。同じ時期に行う米国とのFTA交渉についても「大統領選を控えるトランプ米大統領が自国の利益を追求する取引を行うことで英国との交渉が難航する」と予測した。

 一方、中国について「世界最大の経済大国になりつつあり、自国の利益を追い求めている」と指摘。「(米中が)国益のために起こす紛争から逃れることはできない」と語り、離脱後の英国が、米中対立の一因である第5世代(5G)通信網への対応などに苦慮する可能性を示した。

この記事を共有する

関連トピックス

おすすめ情報