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【主張】英が離脱法案可決 円滑な合意へ柔軟対応を

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 英下院が欧州連合(EU)からの離脱関連法案を可決した。1月末の離脱が事実上確定した。

 2016年6月の国民投票から約3年半続いた離脱をめぐる混迷に一応の終止符が打たれた。

 今後は、年末までの激変緩和のための移行期間内に、英国とEUが新たな通商関係を定める自由貿易協定(FTA)の合意ができるかが焦点となる。

 英国は離脱をめぐる国内の分断状況を克服し、迅速に「円滑な離脱」を完成させなければならない。日米などとの新しい通商関係の確立も同様である。

 離脱法案には、移行期間の延長を禁じる条項がある。ジョンソン英首相は期間内の交渉妥結を目指すが、EUとの交渉の項目は貿易から安全保障まで多岐にわたる。EUは年末までに全てを交渉するのは不可能との立場だ。

 年内妥結がなければ、今回回避された「合意なき離脱」と似たような経済や市民生活の混乱を招きかねない。日本企業なども巻き込まれてしまう。

 それは何としても避ける必要がある。

 ジョンソン首相は、無関税を基本とする簡潔な内容のFTAを目指している。その実現には、EUに比べて英国が突出して有利にならないよう公平な競争環境を整える必要がある。

 EUが求めている、労働市場や環境、国家補助などのEU基準に沿う柔軟性も求められる。EUも従来の硬直的な交渉姿勢を改善してもらいたい。

 年内に交渉がまとまらない場合は、ジョンソン首相は移行期間の延長にかじを切るべきだ。昨年12月の総選挙で圧勝し、安定政権の利点を生かし、現実的な対処をすることが望ましい。

 英国の分断解消も大きな政治課題だ。ロンドンなどの都市部を中心に、国民の約半数がEU残留を希望していたことを忘れてはならない。残留派の多いスコットランドでは独立機運が高まり、北アイルランドでは英本土から引き離される不安が広がっている。国民再統合には、多様な声に耳を傾ける必要があろう。

 「連合王国」分裂の危機に至る芽を摘むべきだ。分断を克服し、経済状況を改善した英国の存在は国際社会の安定に資するからだ。ジョンソン首相の政治指導者としての真価はなお問われている。

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