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【アメリカを読む】トランプ氏弾劾裁判めど立たず 与野党対立が先鋭化

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トランプ米大統領の弾劾訴追決議案の採決が行われた下院本会議(AP)
トランプ米大統領の弾劾訴追決議案の採決が行われた下院本会議(AP)

 ウクライナ疑惑でトランプ米大統領が弾劾訴追され、舞台は下院から弾劾裁判が開かれる上院に移る。当初は来年1月から弾劾裁判が始まるとみられていたが、裁判の進行をめぐって与党・共和党と野党・民主党との対立が激化し、日程のめどが立たない状況だ。先行きの見えない弾劾裁判が、来年の大統領選に影を落とす可能性も出てきている。(ワシントン 住井亨介)

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 弾劾裁判をめぐる両党の対立は、下院で弾劾訴追が承認される前から始まっていた。

 民主党上院トップ、シューマー院内総務は「裁判は公正であるべきで、上院議員はすべての事実を把握するべきだ」として、下院委員会での証言が実現しなかったボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やマルバニー大統領首席補佐官代行らによる弾劾裁判での証言を要求。政権中枢を知る証人4人を呼んで疑惑の追及を続ける姿勢を示した。

 一方の共和党は、新たな証人への質問をしないまま評決に持ち込み、トランプ氏「無罪」で早期に決着させることを模索している。

 証人を呼ぶためには、過半数の賛成が必要だ。共和党は上院(定数100)で53議席を占めており、議席数だけをみれば安泰のはずだが、党内の一部には証言を求めているとされる議員もおり、民主党の要求に賛成することが危惧されている。

 新たな証言でトランプ氏に不利な事実が明らかになれば同氏を無罪とすることが難しくなる恐れもあり、共和党上院のトップ、マコネル院内総務は「調査は上院の役割ではない」として、民主党の要求を拒否する。

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 「(弾劾裁判で)公正な手続きを期待している。どうなるか様子をみたい」

 下院本会議でのトランプ氏弾劾訴追から一夜明けた12月19日、民主党のペロシ下院議長はこう語り、下院で可決した弾劾訴追決議を上院に送ることを留保する考えを示した。

 上院での弾劾裁判は最高裁長官を裁判長に迎え、下院の代表者が検事役、上院議員が陪審役となって進められるが、ペロシ氏は「訴追委員」と呼ばれる検事役の任命を控えている。訴追委員の任命がなければ弾劾裁判は開かれない。トランプ氏を刑事事件での起訴にあたる弾劾訴追の状態のままにしておくことで、「反トランプ」の世論を高め、共和党に譲歩を迫る作戦のようだ。

 だが、マコネル氏は「下院民主党はおじけづき、まがいものの弾劾訴追決議を上院に送ることができないでいる」と反発し、一歩も引かない構えだ。

 米CNNテレビ(電子版)によると、当のトランプ氏も民主党の作戦にいらだちを募らせているもようで、トランプ氏に近いグラム上院議員に対して「やつら(民主党)は何をやっているのか?」と問いただしたという。

 ペロシ氏の作戦は、民主党にとってマイナスに作用する危険もはらむ。証人質問などで弾劾裁判が長期化すれば、来年2月3日の中西部アイオワ州での党員集会から始まる大統領選の予備選に重なることも予想されるためだ。

 弾劾裁判には大統領選に出馬する有力候補のウォーレン、サンダース両上院議員らも出席を求められる。審理の長期化は、候補者の選挙運動に支障を引き起こすだけでなく、国民の関心を弾劾裁判に向けてしまい、民主党の候補指名争いからそらしてしまう可能性もある。

 下院は年末年始の休会を経て、新年1月7日に再開する。この間は手続きが止まるため、共和、民主両党の攻防も年を越すの見通しだ。

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