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【ソウルから 倭人の眼】“告げ口”に意気込む韓国 原発処理水に旭日旗

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東京電力福島第1原発の処理水の状況に関する説明を聞く韓国大使館関係者(手前左の2人)ら在京大使館関係者=4日午前、東京都内
東京電力福島第1原発の処理水の状況に関する説明を聞く韓国大使館関係者(手前左の2人)ら在京大使館関係者=4日午前、東京都内

 日本政府による輸出管理厳格化などに対し、事実上の“報復措置”を連発している韓国が、舞台を国際社会に広げている。日本たたきの材料は、東京電力福島第1原発からの処理水の問題や、東京五輪での旭日旗の競技場持ち込みなど。第三者に“告げ口”をし、国際社会を巻き込んで自身の主張を正当化させようとする韓国特有の日本攻撃が、まさに今、展開されている。(ソウル 名村隆寛)

「全世界的に不安増幅」

 オーストリア・ウィーンでの国際原子力機関(IAEA)年次総会初日の16日、東京電力福島第1原発での放射性物質を含む処理水の処分をめぐり、日韓の間で批判の応酬があった。

 名指しは避けつつも、「放射性物質で汚染された水の処理をめぐって科学的根拠のない批判を受けることがある」と指摘した日本の竹本直一IT・科学技術担当相に対し、韓国科学技術情報通信省の文美玉(ムン・ミオク)第1次官は次のように反論した。

 「日本政府高官が最近、『原発汚染水の海洋放出は避けられない』と言った。海洋放出が決定した場合、全地球的な海洋環境に影響を及ぼし得る重大な国際問題だ。IAEAと加盟国の共同の役割が必要だ。福島原発汚染水の処理問題が全世界的に不安感を増幅させている」

 現地からの情報によれば、韓国側は終始「処理水」ではなく「汚染水」との表現を繰り返し、海洋放出の恐怖感を強調。日本側は「汚染水を浄化した処理水であり、事実に基づかない主張だ」と否定した。議場は異様な雰囲気に包まれたという。

激しく告げ口開始

 原発の汚染水への懸念があることは認めざるを得ず、日本側は国際社会への透明性確保やIAEAと協力しての適切な対処を約束した。だが、韓国は高濃度汚染水の海洋放出を想起させる表現を使い、処分方法が未定であるために「世界中で恐怖と不安が高まっている」と不安をあおるかのように国際会議の場で訴えた。

 福島第1原発の「汚染水」について韓国政府が公的な国際舞台で言及したのはこの時が初めてだった。言い換えれば、韓国は処理水をめぐり国際社会に日本の非をふれて回る“告げ口”を始めたわけだ。

 場面は変わるが、翌17日の昼過ぎ、ソウル中心部の地下鉄1号線市庁駅のホームで初老の男性から「日本の記者だよね」と声をかけられた。聞くと、今年の夏にソウル市内で開かれた文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する抗議集会の場で筆者から名刺を受け取ったという。顔は覚えていなかいが、心当たりはあった。

 ソウル南郊の水原市に住んでいるという彼は地下鉄に乗るやら突然、説教を始めた。要約すると次の2点である。

 「安倍(晋三首相)は韓日関係改善に向けて考え直さねばならない」

 「福島原発の汚染水は国際的な大問題である」

 IAEA総会についての韓国メディアの報道を見たのか、総会で韓国が主張した内容をこの男性は車内で主張し始めた。「イルボン(日本)! イルボン!」と何度も言うので、周囲の視線が集まった。「電車の中だから少し静かにしましょう」と言うと、一時はおとなしくしてくれたが、目的地である6駅先まで、話に付き合わされた。

鬼の首取ったように

 個人的な些細(ささい)な話ではあるが、韓国ではこのようにIAEAという国際機関の総会の場で韓国政府が日本を批判したことを機に、韓国政府の主張が一気に「国際社会の強い憂慮」へと膨張している。意見が対立する相手を第三者(今回はIAEA加盟国)の前で批判し、自分の意見がいかに真っ当なものかを訴える。

 欧米で慰安婦問題などをめぐって日本を批判し続けた朴槿恵(パク・クネ)前大統領の“告げ口外交”を思い出すが、今回はその比ではない。日本政府による韓国への輸出管理厳格化の措置に対する反発もあるのだろう。告げ口を超えた“言いふらし”であり、かつ露骨だ。

 地下鉄車内で説教した男性ではないが、日本が困っていると見るや、まるで鬼の首を取ったように得々として「韓国の正しさ」と「日本の至らなさ」を訴え、相手に分からせようと懸命になる。韓国社会でよく経験することだ。

日本たたきの好機

 「汚染水」に加え韓国が世界に触れ回っていることがもう一つある。東京五輪・パラリンピックでの旭日旗の扱いをめぐる問題だ。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が旭日旗の競技場への持ち込みを禁止しない方針を示したことについて、韓国文化体育観光省は今月、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に書簡を送り、「深い失望と憂慮」を表明。旭日旗使用の不当性を説明し、使用禁止措置を要請した。

 書簡は、旭日旗が「日本帝国主義のアジア侵略戦争時に使われた日本軍の旗で、現在も日本国内で極右団体の外国人に対する差別や嫌悪の集会などに使用されている」と主張。「ナチスのハーケンクロイツ(カギ十字)が第2次大戦の悪夢を思い出させるように、旭日旗は日本の侵略を受けた韓国や中国、東南アジアなどに歴史の傷を想起させる明白な政治的象徴だ」と批判している。

 韓国は中国や北朝鮮にも同調を求め、五輪での旭日旗排斥に躍起となっている。韓国で旭日旗に並々ならぬ執着心を持っている専門家に、誠信女子大学の徐敬徳(ソ・ギョンドク)教授がいる。数年前に日本人炭鉱労働者の写真を「日本に強制労働を強いられた韓国人」として、ニューヨーク・タイムズスクエアの電光広告に載せるという大誤報に関わった人物だ。

 韓国メディアによれば、徐氏はバッハ会長と205のIOC加盟国・地域にメールを送り、「旭日旗はハーケンクロイツと同じ戦犯旗」と訴えた。また、AP通信やニューヨーク・タイムズなど世界のメディア31社へのメールで、東京五輪・パラリンピックでの競技場への旭日旗持ち込みを止めさせるよう要請したという。

 「旭日旗は政治的な意味での宣伝とは無関係」との日本の認識にもかかわらず、徐氏は「いかなる種類の示威行動、政治的宣伝活動も認められない」という五輪憲章の内容を強調し、旭日旗使用の問題点を説明したそうだ。旭日旗に異常なほどに反応する徐氏なら、やりそうなことだ。

 ただ、徐氏は韓国紙にこうも語っている。「国際社会で日本が戦犯国であることを公論化する最高の機会だ。今後も日本の妄言を願う」。旭日旗の排斥よりも、問題の拡散や炎上を願っているかのようだ。こうした韓国の官民による日本への難癖や主張に、国際社会が同調しているかどうかは分からない。

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