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【主張】英離脱延期法成立 対EU合意に全力尽くせ

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 英国の欧州連合(EU)からの離脱問題をめぐって、英議会が、10月19日までに英EU間の離脱案合意が整わなかった場合、ジョンソン首相に対して、離脱延期をEUに求めるよう義務づける法律を成立させた。

 同時に、ジョンソン首相による解散総選挙の再提案を否決した。

 10月末の「合意なき離脱」を辞さない姿勢をとってきたジョンソン首相にとって、手痛い敗北といえる。

 このような情勢を受けて、ジョンソン首相は、合意なき離脱は「国政の失敗」だと明言し、「想像力と創造性で合意を遂げたい」と語った。強気一辺倒の姿勢の修正であれば歓迎したい。

 離脱延期法を無視する強行突破は望ましくない。英国内の融和を図り、EUとの合意に全力を挙げるべきだ。

 離脱を選択した国民投票から3年あまりが過ぎた。時の首相と議会が衝突し、政治の混乱が続いてきた。国としての信用を失墜させるものだ。

 英保守党の支持率は、EUとの離脱交渉の膠着(こうちゃく)により20%台に低迷していたが、強気で有言実行タイプのジョンソン首相の登場で35%程度まで回復した。

 だが、離脱問題をめぐって造反したハモンド前財務相ら議員21人を除名し、これに抗議して主要閣僚のラッド雇用・年金相、弟のジョー・ジョンソン科学担当相が辞任、離党するなど保守党内に亀裂が生じている。

 ジョンソン首相が、10月末に強引に離脱する観測もなお残っている。そうした強引な手法をとれば議会との対立が決定的となり、保守党も空中分解しかねない。これでは離脱自体がうまく進むわけがない。

 日本の経団連や全米商工会議所など世界8カ国の経済団体は、英国とEU双方に対して、移行期間を含んだ離脱案で合意するよう求めている。

 ジョンソン首相が削除を求めているアイルランド国境を巡る「安全策」について、EUは変更も含め柔軟な対応をとるべきだ。

 欧州経済の先行き不安を背景に、ドイツのメルケル首相は「円満な離脱の可能性は残っており、ドイツは最後まで目指す」と語った。秩序だった離脱の追求が必要であり、それにはEUの歩み寄りも必要である。

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