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強行離脱なら「医薬品不足、低所得層打撃」…英内部文書、渋々開示で首相窮地に 

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13日、英中部ドンカスターの市場に立ち寄ったジョンソン首相(中央)。公表された政権内部文書をめぐり波紋が広がっている(ロイター)
13日、英中部ドンカスターの市場に立ち寄ったジョンソン首相(中央)。公表された政権内部文書をめぐり波紋が広がっている(ロイター)

 【ロンドン=板東和正】英国の欧州連合(EU)離脱を10月末に強行すると公約してきたジョンソン英首相が、また一段と追い詰められている。「合意なき離脱」の影響をまとめた政府の内部文書が明るみに出たためだ。合意なき離脱となった場合、食料品の価格上昇や医薬品の供給不足が起き、とりわけ低所得層が打撃を受ける-。政府はこう記された内部文書を議会の追及で渋々開示し、ジョンソン氏は批判の矢面に立たされている。

 内部文書は、ジョンソン氏が首相に就任して数日後の8月2日に作成されたとみられ、英メディアが同月中旬に内容の一部を報じた。EU残留派の無所属議員が今月9日、英議会で同文書の公開を政府に義務づける法案を提出し、賛成多数で可決された。

 ジョンソン氏は公開を拒み続けていたが、議会の採決に従い11日に公表した。

 文書によると、合意なき離脱に陥れば、英仏間のドーバー海峡をつなぐユーロトンネルで通関手続きが必要になり、大渋滞が発生。離脱前に比べ、物品を運ぶ大型トラックの国境通過が最長2日半遅れるとした。

 物流が離脱1日目で通常の40%に落ち込むことで、生鮮食品の輸入が減少して価格が上昇する。また、医薬品の供給量も減り、低所得者に打撃を与える恐れがある。文書は、各地で抗議デモが起き、暴動に発展する危険性も訴えた。

 政府は文書について「最悪のシナリオ」を想定したものだと説明し、衝撃を和らげようと躍起だ。だが、与党・保守党の支持者の一人は「文書の存在は政権への信頼を損なう事態に発展しかねない」と指摘する。

 ジョンソン氏はこれまで、合意なき離脱になっても「対策を準備すれば(国民への)負担はゼロに近い」と楽観的な姿勢を示していた。ジョンソン政権が10月末の離脱を断行するために「意図的に合意なき離脱の影響を隠していた」(支持者)との見方が広がっている。

 与野党から合意なき離脱の回避を訴える声が高まる中、9日には離脱延期を求める法が成立した。しかし、ジョンソン氏は、メイ前首相がEUとまとめた離脱協定案を修正できなければ、EUとの合意がなくても10月末に離脱する方針を崩していない。

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