PR

ECB利下げ決定 地盤沈下進む欧州 EU離脱や米中摩擦で金融緩和不可欠に

PR

 【ロンドン=板東和正】欧州中央銀行(ECB)が金融緩和に踏み切ったのは、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる先行きの不透明感が漂う中、欧州経済の力強さを取り戻すためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が可能性を示唆した月内の追加利下げに対抗してユーロ高を防ぐ狙いもある。

 「悪化の一途をたどっている」

 7月25日。前回のECB理事会後の記者会見で、欧州の経済見通しについてドラギ総裁はそう指摘した。 その6日後にEU統計局が発表したユーロ圏19カ国の2019年4~6月期の実質域内総生産(GDP)は、前期比0・2%増で、18年10~12月期以来、2四半期ぶりの低い伸びとなった。米中貿易摩擦の影響に加え、経済の混乱が懸念される「合意なき離脱」に英国が陥るリスクが高まっていることから、EU加盟国の経済成長が鈍化したとみられている。

 さらに、合意なき離脱も辞さないジョンソン首相が7月下旬に就任したことで、欧州経済には不透明感が強まっている。英国の金融関係者は、ドラギ氏が指摘した欧州経済の行き詰まりは「8月以降も解消されない状態が続いている」との見方を示す。事実、8月のユーロ圏全体の消費者物価指数は前年同月比1%上昇で、9月もECBが目標とする2%弱を下回ることが予想される。

 欧州の中でも、ユーロ圏経済の要であるドイツの景気低迷は深刻だ。米中貿易摩擦などのあおりを受け、国内のGDPの5割弱を占める製造業の受注が下降。4~6月期の経済成長率が前期比0・1%減に失速し、3四半期ぶりのマイナス成長となった。英国に自動車を輸出するドイツは関税復活による負担が生じることで経済がより低迷する見通しで、ドイツ連邦銀行(中央銀行)は景気後退に陥る恐れを警告している。ドラギ氏は欧州の地盤沈下が続くなら「断固として行動を起こす」と明言しており、景気低迷を食い止めるために金融緩和は避けられないと判断したとみられる。

 一方で、ECBの金融緩和は、米国の追加利下げへの「為替対策」との見方もある。

 FRBのパウエル議長は6日、月内の追加利下げに前向きな姿勢を示した。大和総研の菅野泰夫ロンドンリサーチセンター長は「米国と歩調を合わせて緩和に踏み切らなければ、ユーロ高ドル安に陥り、EU加盟国の輸出に悪影響を与える」とした上で「ECBが検討する金融緩和は米国の利下げを先回りした予防策だ」と分析する。

この記事を共有する

関連トピックス

おすすめ情報