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【アフリカウオッチ】ロシア、アフリカで勢力拡大 軍事協力えさに着々と浸透

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 ロシアがアフリカの多くの国に浸透し、勢力拡大を図っているとの観測が相次いでいる。資金や技術力で中国や欧米に劣るロシアは、プーチン大統領の側近を軸に軍事面で強権指導者を支援したり選挙に介入したりして、意に沿う政権づくりに動いているとの指摘が多い。横浜では8月、第7回アフリカ開発会議(TICAD)が開かれたが、ロシアも10月、アフリカ諸国の指導者を招いて初の首脳会議を開き、影響力復活をアピールする。(カイロ 佐藤貴生)

プーチンのコック

 米ブルームバーグ通信(電子版)が昨年11月に掲載した記事によると、アフリカ工作を担っているのは「プーチンのコック」の異名を取るプリゴジン氏だ。米大統領選への干渉疑惑で米当局に訴追された人物で、外食産業を振り出しにクレムリン(ロシア大統領府)と親密な関係を築き、現在では「ワグナー」という民間軍事会社(PMF)や政治工作部隊を率い、多数の国に浸透を図っている。

 豊富な地下資源を擁する国々の強権指導者や軍閥に近づき、軍組織の訓練や選挙工作などを行う見返りに、資源の開発権などを手に入れるのが主な狙いとされる。

 ロシア企業がプラチナ採鉱に関与しているジンバブエでは昨年7月、大統領選で現職が勝利したが、対立候補は「票の集計が操作された」と非難し、ロシアの政治顧問が背後にいると指摘した。

 英BBC放送(電子版)によると、昨年12月に実施されたマダガスカルの大統領選では、旅行者を装ったロシアの工作員が意中の候補を勝たせるべく、少なくとも6人の候補に現金供与を持ちかけた。ギニアでは大統領の任期延長をめぐる工作にかかわっているとの指摘もある。ギニアはロシアのアルミ企業「ルスアル」に対する随一のボーキサイト供給国とされる。

「中国はカネ、ロシアは腕力」

 東西冷戦期、ソ連は西側の影響力を排除するためアフリカ諸国に接近し、アンゴラやモザンビークでは1970年代の独立時、社会主義路線の政府発足に導いた。軍事支援もこの2カ国やエチオピアなどで行ってきたが、その影響力はソ連崩壊で水泡に帰した。

 近年は巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国が地下資源獲得のため、アフリカに巨額投資を続け、鉄道や高速道路など多数のインフラ建設にいそしむ。アフリカを飲み込みつつある印象だ。

 こうした中、ロシアのプーチン政権は10月、南部ソチにアフリカのすべての国家指導者を招き、初の「ロシア・アフリカ首脳会議」を行う方針だ。コンゴ(旧ザイール)の野党政治家は1月、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に対し、欧米の影響力に対抗する中露の戦略を「中国はカネ、ロシアは腕力だ」と評した。軍事顧問が兵士を鍛え、兵器を送って強権指導者や有力軍閥を支援するロシアの手法をさすとみられる。

 中央アフリカの外相は1月、ロシアが国内に軍事基地を設置する可能性があると述べた。この国の国家安全保障の顧問はロシアの情報機関出身者が務めているといわれ、ロシアは民族紛争が絶えない中央アフリカで1000人以上の兵士に軍事教練を施したとしている。「ワグナー」が関与しているとの見方もある(米紙ニューヨーク・タイムズ電子版)。また、米・イランの軍事的緊張の高まりを受けて注目が集まる紅海沿岸では、スーダンやエリトリアなどで海軍拠点の構築を目指しているようだ。

 ロシアが再びアフリカへの本格進出にかじを切ったのは2014年。ウクライナ南部クリミア半島を併合し、欧米が経済制裁を発動したことが転機になった。軍事協力を軸に国々を取り込む手法はソ連時代とそう変わらない。違うのは、そこに選挙工作が加わった疑いが強いことだ。民主主義の根幹を揺さぶるロシアらしいやり方といえる。

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