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【パリの窓】モナリザの盗難事件

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 「自撮りは1回! マダム、前に進んで」。係員の制止にめげず、30秒間粘る。ルーブル美術館の名画「モナリザ」前は今夏、大混雑になった。館内工事で展示室が移動し、人の流れも変わったためで、たどり着くまで1時間かかった。

 ルーブルの来館者は年間約1千万人。東京23区の人口を超える。この8割はモナリザ目当てとか。館内にはミロのビーナスなど有名作品がいっぱいあるが、モナリザ人気は段違いだ。

 仏紙ルモンドによると、1911年の盗難事件が「神話化」の発端らしい。容疑者捜しで、当時は貧乏画家だったピカソも連行された。2年後、作者ダビンチの故国イタリアで発見された際、絵を売ろうとした犯人は「フランスから名画を奪回した」と主張。一躍、愛国的英雄となった。

 モナリザは16世紀、不遇だったダビンチがフランス王の招きで移住したとき、山道をロバに積んで持ってきたといわれている。王様は城と年金を用意し、天才を三顧の礼で迎えた。その後、フランスは文化大国として花開いた。イタリアには、後世に痛手を残す頭脳流出になった。

 今年はダビンチ没後500年。ルーブルで10月、作品展が始まる。同紙によると、イタリアも記念年にあわせ、「モナリザを貸して」と水面下で交渉しているという。(三井美奈)

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