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【主張】仏G7が閉幕 結束取り戻し再出発せよ

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 仏ビアリッツで行われた先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が閉幕した。

 発表された1枚の総括文書は通商やイラン情勢など5項目の合意点を列記したのみだ。トランプ米大統領と欧州との決裂は回避できたが、溝の深さを印象づけた結果となったのは否めない。

 だが、ロシアや中国という「現状変更勢力」の挑戦を受ける今こそ、自由と民主主義、人権や法の支配といった価値観を共有するG7の存在は不可欠である。弱いメッセージは、かえって中露を利する恐れもあることを参加国は忘れてならない。

 昨年のカナダでのG7サミットでは、トルドー加首相が米国の輸入制限を批判すると、トランプ氏が首脳宣言を承認していないと一方的に表明し、指導者間の亀裂をさらけ出してしまった。

 今回、議長のマクロン仏大統領が包括的な首脳宣言の採択を早々と見送ったのはそのためだ。デジタル課税や温暖化対策のパリ協定など意見が対立した。イラン沖のホルムズ海峡でのタンカー護衛に向けた、米国主導の有志連合についての議論は棚上げされた。

 イラン情勢では、核保有の阻止で一致する一方、トランプ氏がロウハニ大統領と会談する用意があることを示唆した点は評価できる。先行きに楽観はできないが、マクロン氏がザリフ外相をビアリッツに招くなど、緊張の緩和につなげたことが功を奏した。

 ただ、トランプ氏が来年議長を務める米フロリダでのG7にプーチン露大統領を招きたいと提案したことは警戒を要する。

 ロシアは2014年にウクライナ南部クリミア半島を併合し、G8を放逐された。力による現状変更をいとわぬロシアを復帰させてはG7の存在意義を否定することになる。日欧でトランプ氏に再考を迫り続けてほしい。

 デモと混乱が続く香港情勢では、総括文書の中で「暴力回避」を求めたが、中国の武力介入を阻止するメッセージとしては不十分だ。20カ国・地域(G20)と異なるG7は、中露にもっと毅然(きぜん)とした姿勢を打ち出す責務がある。

 来年大統領選を控えたトランプ氏は再選を意識して自国第一主義を一段と強めていくだろう。安倍晋三首相には米国の指導者をG7の枠組みにつなぎとめ、結束を取り戻す努力が求められる。

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