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トランプ氏「グリーンランド購入」発言 火消しの米

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 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領が北極圏にある世界最大の島、デンマーク自治領グリーンランドを購入する意向を表明した問題は、同国のフレデリクセン首相が「ばかげている」と一蹴したことで事実上決着した。一方、トランプ政権は、中国やロシアの北極海への進出や気候変動による北極海航路の可能性をにらみ、戦略的重要性を増しているグリーンランドへの関心を強めており、今回の騒動で生じたデンマークとの亀裂を修復し、北極圏をめぐる関係強化を目指していく方針だ。

 トランプ氏は21日、ホワイトハウスで記者団に対し、グリーンランド購入は「単なる検討課題だった」と説明した上で、首相の発言は「暴言であり不適切だ」と述べ、「米国を『ばか』呼ばわりするのは許さない」と訴えた。

 一方、国務省によるとポンペオ国務長官は同日、デンマークのコフォズ外相と電話で会談し、グリーンランド自治政府を含むデンマークとの北極圏での関係強化について話し合った。

 ポンペオ氏は、同じ北大西洋条約機構(NATO)加盟国のデンマークと北極圏で中露に対抗していく姿勢を確認するとともに、トランプ発言の「火消し」を図ったとみられる。

 米政権がグリーンランドに関心を向けるのは、第一には豊富なレアアース(希土類)資源が埋蔵されているためだ。

 希土類の生産で世界的優位にある中国が米国への希土類の輸出規制を示唆しているのに危機感を抱く米国は、希土類の安定供給元の確保を模索。グリーンランド自治政府とは最近、希土類採掘への投資に向けた覚書を交わした。

 また、気候変動で北極圏の氷が解け、北極海航路という新たな戦略的物流ルートが生まれつつある中、中露が影響力拡大を図っていることも、北極海と北大西洋の間に位置する要衝であるグリーンランドの重要性を高めている。

 米国は、グリーンランド北部に空軍基地を置き、弾道ミサイルの早期警戒や人工衛星の追跡に活用。これに対し、中国も2016年、島にある旧米軍基地の跡地の買収を図ったほか、18年には米軍基地に近接する土地での空港建設の入札に参加したが、いずれも米国の意向を受けたデンマークから阻止されている。

 ただ、グリーンランドに米軍基地があるにもかかわらず中露が進出しているのは、基地が中露に対する抑止力の役割を果たしていないことを意味する。

 このため米国内では、前時代的な外国からの土地購入ではなく、今回の騒動をデンマークとの安全保障協力の強化につなげ、中露に対抗する契機にすべきだとの意見が相次いでいる。

 ■米国による外国の土地買収 米国は過去に外国からの土地買収を通じて領土を拡張してきた。ジェファソン大統領は1803年、現在の南部ルイジアナ州から北部モンタナ州にまたがる地域をフランスから購入。アンドリュー・ジョンソン大統領は67年、西部のアラスカをロシアから買い取った。ウィルソン大統領は1917年、現在の米領バージン諸島をデンマークから購入した。グリーンランドをめぐっては、トルーマン大統領が46年に1億ドル相当の金塊と引き換えに買収を図ったが失敗している。

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