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シベリアで記録的山火事、ロシア放置 鎮火不能で雨乞いあるのみ

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7月30日に撮影されたロシア極東サハ共和国の衛星写真。広範な地域で山火事が多発している(露国営宇宙開発企業ロスコスモス提供=AP)
7月30日に撮影されたロシア極東サハ共和国の衛星写真。広範な地域で山火事が多発している(露国営宇宙開発企業ロスコスモス提供=AP)
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 【モスクワ=小野田雄一】6月に世界規模で観測された熱波が原因とみられる山火事がシベリア地方を中心とするロシア東部で多発し、計330万ヘクタール(日本の国土面積の11分の1)が焼失する記録的な被害となっている。露政府は7月31日になってようやく消火活動に本腰を入れ始めたが、効果は限定的で制御不能に近い状態だ。露メディアは、近年の消火関連法の改正で加えられた新たな規定が山火事の放置を招き、被害を拡大させたと指摘している。

 ロシアでは6月ごろからシベリアや極東など広範な地域で山火事が多発。7月末時点で計330万ヘクタールが焼失した。煙はシベリアのノボシビルスクや中部ウラル地方のエカテリンブルクなど大都市まで飛来し、SNS(会員制交流サイト)上には住民らの「煙で呼吸できない」との悲鳴が相次いでいる。当局側に緊急対応を求める署名も50万人分以上集まった。

 露政府は7月31日、航空機を使った消火活動を本格化させるなど対策に乗り出したが、それまでに鎮火した火災は全体の3%にとどまっていた。

 複数の露メディアはその要因として、2015年の消火関連法の改正で「消火費用が山火事による損害を上回る場合、消火しなくてもよい」との規定が加えられ、当局側がその規定を根拠に山火事を放置していたと指摘する。この規定は、財政難や人員不足に対処するため、シベリアなど住民が少なく、消火部隊の派遣が困難な僻地を対象として新設された。

 露メディアは、当局は山火事が小規模だった段階で消火活動をしておくべきだったと指摘。露経済紙コメルサントは7月30日、「これほど大規模になった火災の鎮火はもはや不可能で、できることは雨を願うだけだ」とする専門家の悲観的なコメントを伝えた。

 世界気象機関(WMO)は7月、欧州など各地に地球温暖化に伴う熱波が到来し、世界の6月の気温は観測史上最高を記録したと発表。シベリアの6月の平均気温は、1981年から2010年の平均を約10度上回った。米国のアラスカ州は観測史上2番目に暑い6月となり、フランス南部でも6月末、本土の観測史上最高となる45・9度を記録。シベリア北部などの北極圏では6月以降、大規模な山火事が100件以上起き、WMOは「これほど高緯度での大規模な山火事は異例」との見方を示した。

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