PR

INF条約失効 露、米を批判も難題に直面

PR

 【モスクワ=小野田雄一】米露の中距離核戦力(INF)全廃条約の失効を受け、ロシア外務省は2日、「米国の主導で条約が失効した」との声明を出し、米国を批判した。ロシアは新兵器の開発を進める方針を示しているが、財政難が続く中、米国との軍拡競争は避けたいのが本音とみられる。ただ、中国を加えた新たな軍縮枠組みが成立する可能性は低く、ロシアは難題を抱えた格好だ。

 条約失効が現実味を帯びた昨秋以降、露政府は条約維持に向けた姿勢を示し続けてきた。背景には「米国の責任」を国内外にアピールする狙いとともに、経済力や技術力で自国を勝る米国との本格的な軍拡競争は不利だとの考えがあるとみられている。条約失効で米国が欧州にINFを展開した場合、ロシアも対抗措置を取る必要に迫られ、軍事費の増大は避けられないからだ。実際、リャプコフ露外務次官はイタル・タス通信が2日配信したインタビューで「米国と北大西洋条約機構(NATO)にINF配備を米露双方が一時猶予することを提案している」と明かした。

 プーチン大統領は昨年12月、中国などを加えた新たな軍縮枠組み構築という米国のアイデアについて「理解できる」とし、実現に期待感を示した。中国の軍事的拡大はロシアにとっても潜在的な脅威であることが背景にある。しかし中国は新たな枠組みへの参加を否定。以後、ロシアは中国を説得する姿勢を弱め、協調して米国の条約破棄を批判する方向に転じた。米国への対抗を進めるロシアにとって欠かせない政治的・軍事的パートナーである中国に配慮したとみられる。

 経済低迷などでプーチン政権の支持率は低下しており、軍事費の増大は国民の不満をさらに強める恐れがある。露政権は対外的にも国内的にも難しいかじ取りを迫られることになる。

この記事を共有する

おすすめ情報