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ロシアが北方領土訪問で日米韓揺さぶり

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 【モスクワ=小野田雄一】ロシアのメドベージェフ首相が2日、北方領土を訪問した。プーチン露政権には、実効支配の誇示に加え、領土問題で日本に譲歩しない姿勢を示し、島の引き渡しを懸念する国民を安堵させようとする狙いがあるとみられる。トランプ米大統領が日米安全保障条約への不満を漏らしたことや日韓関係の悪化などによって日米韓3カ国の関係にきしみが生じているとみて、日本へ揺さぶりをかけている可能性もある。

 安倍晋三首相とプーチン露大統領は昨年11月、「平和条約締結後にソ連は歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」と定めた1956年の日ソ共同宣言に基づいて平和条約交渉を加速させることで合意。しかし直後の露世論調査では、露国民の約8割が引き渡しに反対していることが判明した。

 ロシアでは長びく経済低迷などでプーチン政権の支持率が過去最低水準まで低下。同政権は、領土問題で日本に譲歩しない姿勢を示す必要に迫られている。

 ロシアは今年2月、サハリン(樺太)と北方領土を結ぶ光ファイバーの敷設事業を完了。5月には色丹島などの経済特区拡大を決めた。北方領土周辺での軍事演習も相次いで実施するなど、昨年11月の合意以降も実効支配を強める施策を続けている。メドベージェフ氏の北方領土入りも、この文脈の中にある。

 一方で、日米韓の関係に生じている変化が作用しているとも考えられる。トランプ氏は6月、日米安保条約が「不公平だ」と不満を表明。米国の保護主義的な通商政策も日米関係にとって悪材料だ。日韓関係の悪化が両国の防衛協力に波及するとの懸念も出ている。

 こうした情勢を横目に、ロシアは中国との連携を強め、アジアでの米国を中心とした同盟関係を牽制している。中露が7月、韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)付近で戦略爆撃機による初の長距離合同パトロールを実施したのも、日米韓の反応を見るためだったとの見方が強い。

 3カ国の連携が弱まれば、ロシアがアジアでの存在感を強める好機ともなるだけに、今後も揺さぶりが続く可能性がある。

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