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「中国は戦い抜くだろう」G20前、大阪で自由貿易推進フォーラム

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大阪市内で開かれた中国政府系機関による国際フォーラム「開放型世界経済の共同構築に向けて」=25日
大阪市内で開かれた中国政府系機関による国際フォーラム「開放型世界経済の共同構築に向けて」=25日

 中国の政府系シンクタンク、中国社会科学院などが主催する国際フォーラム「開放型世界経済の共同構築に向けて」が25日、大阪市内で開かれた。同市で28、29日に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を前に貿易摩擦を抱える米トランプ政権を牽制(けんせい)し、自由貿易を推進する中国の立場をアピールした。日本の元外交官も登壇、トランプ大統領が唱える米国第一主義が「東アジア共同体」構築への追い風になると訴えた。 (坂本英彰)

 「米国は自由貿易を提唱してきたにもかかわらず、自国の利益のため保護主義に転じた。中国は引き続き保護主義、一国主義に断固反対し、開放型世界経済の構築に尽力する」

 中国にとって最大の懸念は、サミットに合わせて行われるトランプ氏と習近平国家主席による首脳会談だ。中国政府元高官で同科学院の謝伏瞻(しゃ・ふくせん)院長は制裁関税で圧力を強めるトランプ政権を強く牽制し、自由貿易の推進役としての中国の立場をアピールした。

 フォーラムは中国政府系英字紙チャイナ・デーリーとの共催。同社の周樹春社長・総編集長は「サミットでは開かれた多元的な経済の構築に向けた支持が得られるだろう。開放型経済の高みを目指すことが必要だ」と述べ、各国首脳が集まるサミットで中国に好意的な国際世論が形成されることに期待を示した。

 フォーラムでは欧米やアジア、アフリカなどの研究者らも次々と登壇し、それぞれの立場から自由貿易の重要性を訴えた。

米国が失うものは中国より大きい

 英ケンブリッジ大国際政治研究所のマーチン・ジャックス氏は「トランプ氏の経済政策は愛国主義的孤立主義だ」と指摘。米中の覇権争いで米国は衰退中のパワーであり中国は台頭中のパワーだとし、「長期的にみて米国が失うものは中国よりも大きい」と分析した。

 米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のマシュー・グッドマン氏は「米国人の大多数は、保護主義が良くてグローバリズムが悪などと見ていない」と述べ、トランプ政権の立場の特異性を強調。米中の緊張状態については双方に責任を帰し「競争は避けられないが違いを埋めることが必要だ」と歩み寄りを促した。

 中国が近年、関係を強めているアフリカからの発表者も登壇した。南アフリカ・ヨハネスブルグ大のアフリカ中国研究センター長、デビッド・モナエ氏は「世界が断絶しG20が成功しないようでは、アフリカの成功もない」と訴えた。

 一方、インドのシンクタンク「ゲートウェイハウス」のアクシェイ・マシュー氏は、インドや中国を含む新興5カ国(BRICS)が積極的な役割を果たしていないと批判。「規制外交が台頭しているのに、BRICSは米中貿易摩擦について立場を示さず、新しい経済概念も示すことができていない」と述べた。

日米貿易摩擦が教訓

 フォーラムでは日本人も登壇した。国際アジア共同体学会会長で筑波大名誉教授の進藤栄一氏は、米中貿易摩擦について中国は1980年代の日米貿易摩擦を教訓にしていると指摘した。貿易赤字で米国は日本に激しい批判を加え、85年のプラザ合意に至った。これが「日本の30年にわたる衰退の出発点になった」という。米中摩擦について進藤氏は第二次大戦の日中戦争にもたとえ、「対中制裁で米国は自らの国内産業を衰退させ、経済は失速の度を強めている。中国は欧州諸国の協力を得て持続戦を展開し、米国との経済戦争を戦い抜くだろう」と展望した。

 また元国連大使で北東アジア研究交流ネットワーク代表の谷口誠氏は、トランプ政権の対中強硬姿勢や自国第一主義は、東アジアにおけるゆるやかな地域共同体構築をすすめるいい機会だと説いた。谷口氏は「日中韓が相互に連携し経済的、政治的な統合をすすめれば東アジア共同体は夢ではない。アジア発の世界秩序を発信し、欧米に伍(ご)して世界の安定に貢献できるだろう」と述べた。

 会場では中国関係の研究者や経済人ら約200人(主催者発表)が耳を傾けた。また中国メディアが多数詰めかけ、発表者への個別インタビューなど熱心に取材を展開した。

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