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【めぐみへの手紙】若者から帰国を願う手紙、本当に勇気づけられる

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横田めぐみさんの写真展会場前の街頭で、署名活動する横田滋さん、早紀江さん夫妻=東京都千代田区(矢島康弘撮影)
横田めぐみさんの写真展会場前の街頭で、署名活動する横田滋さん、早紀江さん夫妻=東京都千代田区(矢島康弘撮影)

 北朝鮮による拉致問題は進展が見えないまま平成31年を迎えた。拉致被害者、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の両親、滋さん(86)、早紀江さん(82)夫妻は今この瞬間も、全被害者の即時救出を切望している。家族たちの思いに応えるかのように、若い世代からめぐみさんらすべての被害者に贈る手紙が次々に寄せられている。「膠着(こうちゃく)した状況を動かす大きな力になる」。夫妻は思いも背に、解決に向けた国民の後押しを重ねて、呼びかけている。

 めぐみちゃん、こんにちは。本当にめまぐるしく、1年が過ぎ行き、また新しい年を迎えました。あなたを必ず助け出すと心に決めながら、さらに年月を重ねてしまったことが本当に辛く、それでも、決してあきらめず、再会を信じて、日々を生きています。

 このたび、めぐみたち拉致被害者への思いを込めたたくさんのお手紙を若い方々からいただきました。めぐみは13歳で拉致されました。今、当時のめぐみと同年代の皆様は、拉致事件が起きたとき、お生まれでさえありませんでした。

 そんな方々が、めぐみちゃんたち被害者の生き方に触れ、帰国を願ってくださることは本当にありがたく、勇気づけられます。

 たくさんつづっていただいた手紙を通し、若々しい励ましと後押しの思いに心を打たれました。必ずや北朝鮮に届き、膠着した状況を動かす大きな力になるはずです。

 私たち家族は長い時間、救出運動に全力をかたむけてきました。最初は街頭で訴えても見向きもされず、拉致を「嘘」と断ぜられ、救出を訴える署名用紙を乗せたボードをたたき落とされたこともありました。

 それでも、少しずつ思いが広がり、社会の声は高まり、ついには北朝鮮が拉致を認めました。ここに至ったのはやはり、拉致に心から怒り、涙し、救出を切望した国民の方々の声があったからこそだと思います。

 ただ、拉致事件が完全に解決しないまま、40年以上の時がたつ中、家族は「救いを待つ被害者が忘れ去られてしまう」という、底知れぬ恐怖感とも向き合ってきました。だからこそ、国民の皆様には、これまでと同様に関心を持ち続けていただきたいのです。

 次代を担う若い世代の方々が拉致事件を知り、解決の道筋を考えていただくことは、とても大事なことだと強く感じます。

 今年、日本では天皇陛下が譲位されることになり、新しい時代を迎えようとしています。昭和の時代に起き、日本に深く突き刺さってきた拉致事件という国家犯罪が、平成のうちにすっかり解決され、明るい未来の幕開けにつながることを願ってやみません。

 昭和52年11月、めぐみちゃんが煙のように消え去ってから、心が安まる日は一日もありませんでした。

 20年を経た平成9年、北朝鮮にいることが分かり、救出を訴える活動をお父さんと始めました。拉致被害者家族会も結成され、全国に被害者救出を支援する組織が広がり、情勢は少しずつ、確かに、前に進んでいきました。

 そして平成14年。北朝鮮は拉致を認め、謝罪しながらも、めぐみちゃんたちを「死亡」と偽りました。

 間もなく、飛行機で羽田空港に帰国し、祖国の土を踏んだ蓮(はす)池(いけ)さんご夫妻、地村さんご夫妻、そして、曽我ひとみさんの姿を見つめながら、かならず、めぐみちゃんたちも救い出すのだと誓ったことを、昨日のことのように思い出します。

 お母さんは今日まで、めぐみが必ず生きていると信じ、それを疑ったことはありません。若い皆様がその思いを知って下さり、共感と励ましの言葉をつづっていただいたことを、とてもうれしく思います。

 お父さんは86歳。お母さんももうすぐ、83歳になってしまいます。

 被害者、家族が高齢となり、残された時間は日に日に少なくなっていきます。他人事ではなく、どうか、自らの事として拉致事件を考えていただきたい。ふとしたとき、拉致を解決できないまま、日本が何事もなかったかのように進んで行くのではないか、という不安が頭をもたげます。

 最近は、拉致問題の「風化」という言葉を耳にすることもよくあります。政府や政治家の皆様は、現状をどうごらんになっているのでしょう。非道な国家犯罪を解決できないばかりか忘れ去られる。そんな日本で本当に良いのでしょうか。

 一昨年と昨年、思いがけない形で拉致問題が国際社会に示されました。米国のトランプ大統領が、国連で北朝鮮を厳しく非難しました。史上初の米朝首脳会談でも、トランプ大統領は拉致問題の解決を提起したといいます。これを、北朝鮮の最高指導者はどう受け止めたのでしょうか。

 道を歩けば、多くの励ましとともに「なぜ解決しないの」と問いかけをいただきます。難しい国際情勢を知るすべはなく、ただただ戸惑ってしまいます。

 私たちは政府が必ず、すべての被害者を救うと信じてきました。なかなか進まない成り行きに悔しさと悲しさが募ります。最後は、日本が自らの手で被害者を救わねばなりません。

 お父さんは今日も、元気な姿でめぐみちゃんに再会するため、リハビリに励んでいます。あなたのことを思いニコニコとほほえんだり、時にはなかなか進まない拉致問題に厳しい表情を見せたり-。皆さんの前に立つことはできなくても、救出にかける情熱は、寸分たりとも変わっていません。

 お父さんとお母さんにとって一番の願いは、一刻も早く被害者全員が帰国し、普通の生活を取り戻すことです。そして明るく、希望に満ちあふれた日本を、次世代に引き継ぐことです。

 めぐみちゃんたち被害者に思いを寄せてくださる若い世代の皆さん。そして、親御さん、お孫さんを持つ皆様。すべての国民の方々があげる声、思いが力強い後押しになります。

 新年を迎え、今年こそ、祖国の土を踏んだめぐみちゃんたちとともに、皆様に感謝を伝えられる日が来ることを祈ってやみません。めぐみちゃん。歩みは遅くとも、必ず、喜びの日が来ます。どうか、待っていてね。=随時掲載

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