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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(47)慰安婦問題のウソに抗議 韓国系アメリカ人の孤軍奮闘

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米カリフォルニア州グレンデール市の「慰安婦」像に献花するアダム・シフ下院議員=2014年4月 (中村将撮影)
米カリフォルニア州グレンデール市の「慰安婦」像に献花するアダム・シフ下院議員=2014年4月 (中村将撮影)

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 《私は1930年に朝鮮で生まれ、50年代の大学留学以降、アメリカに住んでいます…以前、あなたがグレンデールの公園にある『慰安婦』像を訪問するニュースを見ました》

 在米の韓国系アメリカ人の男性(88)が、米民主党の下院議員、アダム・シフ=カリフォルニア州=へ宛てて送った手紙は、こう始まっている。書いたのは、新たにサンフランシスコ市で、中国系団体による『慰安婦』像などの寄贈受け入れが議論になっていた昨年8月のことだ。

 シフは、元慰安婦への日本政府の謝罪などを求めた2007年の米下院決議の共同提案者の一人だ。報道によれば、前回の中間選挙を控えていた14年4月、シフは、選挙区であるカリフォルニア州グレンデール市に設置された『慰安婦』像を訪れて献花を行い、「何十万人もの女性が戦時中に性奴隷とされ…元慰安婦の女性が何十年も恥と怒りとともに生きてきた」などと口を極めて非難した。

 手紙の中で男性は、日本統治時代などの自身の体験を踏まえ、シフが口にしたような“虚構の物語”に疑問を呈していく。

 《(日本統治下の朝鮮の)朝鮮語の新聞で、私は「軍隊のための性労働者」の求人広告を見たことを覚えています。もしも、日本軍が本当に自宅や路上で無理やり朝鮮の少女を連行したのならば、わざわざ、こんな新聞広告を出す必要があったでしょうか?》

 《1980年代に「吉田清治」という怪しげな背景を持つ男の本が韓国語にも翻訳されて出版されました。彼らは『戦争中に朝鮮女性が“性奴隷”として日本軍に強制連行された』と主張しましたが、それまで韓国で、そんな話はまったくなかった。果たして、日本軍が秘密裏に何十万もの朝鮮女性を連れ去ることなど可能でしょうか?》

 男性は、日本統治時代の朝鮮に生まれ、旧制中学在学中に終戦。戦後はソウル大学法学部を出て朝鮮戦争に従軍、米大学に留学して米国籍を取り、長年、アメリカの多国籍企業で国際金融関係の仕事に携わってきたビジネスマンだ。その2年前には、オバマ政権で駐日大使を務めたキャロライン・ケネディ宛てにも同様の手紙を送っている。

 「本当は日本人がすべきことでしょう。だが、僕はウソを見過ごせない。戦時中、僕の街や親類でも、慰安婦にさせるため“軍に強制連行された若い女性”の姿なんて見た人は誰ひとりいないのだから」

 結局、どちらの手紙にも返事はなかった。サンフランシスコ市は昨年11月、像などの寄贈を受け入れ、シフは、先月行われた中間選挙で再選。民主党が下院で多数党になったため、下院情報委員長への起用が確実視されている。また、今回の選挙で、ニュージャージー州では、20年ぶりとなる韓国系下院議員(民主党)も誕生した。米政界の一部議員による理不尽な日本への非難は、今後も強まりこそすれ、緩むことは期待できないだろう。

 中・韓系ロビーが結託

 慰安婦問題や徴用工問題をめぐる“歴史戦”は、今やアメリカが主戦場になっている感がある。

 「反日」で結託する韓国系と中国系ロビーが政治家や地方自治体に圧力をかけて各地に『慰安婦』像や碑を建てさせ「性奴隷」「人身売買」などという言葉で煽(あお)り立てる。米公立高校で使われる一部の世界史教科書には「約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に徴用した」などという虚偽の記述が堂々と掲載される。ニューヨーク・タイムズスクエアの電光掲示板には、徴用工問題をめぐって「軍艦島は地獄島」などという韓国映画の意見広告が流される…。

 ウソがウソを呼んでひとり歩きし、まるで人間の所業とは思えない“日本軍の悪行”が吹聴され、とどまることをしらない。なぜ、直接関係がないアメリカで、虚構の物語が、これほどまでに流布されるのか。

 手紙を出した韓国系アメリカ人の男性はいう。「韓国側の行動は、組織的で非常に統制が取れている。政府や現地の在外公館が後ろでコントロールしているのは間違いないでしょう。彼らは、居留民や宗教の団体を通じて住民に浸透していく。元慰安婦のおばあさんを連れてきて、ワーワー泣かせる。組織だった献金をさせて政治家を動かす…。『反日』で一致する中国系とも連携しています」

 もともとは、こうした問題にさほど関心がなさそうな若い3世、4世らも取り込んでいく。「洗脳ですよ。鉦(かね)や太鼓をたたいて『あなた方の父祖は、日本にとてもひどい目に遭わされたんですよ』とあらゆる場所、機会を通じて『反日』を吹き込み続けるんです」

 「負け続け」の日本

 対して、日本側の動きは鈍く、負け続けているという。男性は、「何事にも事なかれ主義で、まとまった対応ができていないし、積極的な反論メッセージを発信できていない。その結果、多くのアメリカ人は『日本は知らん顔で、ほおかむりしている』と感じている」と手厳しい。

 サンフランシスコ市の問題をめぐっては、日本の政府関係者から、この男性に市議会の公聴会で反対意見の証言をしてほしい、という打診があったという。ところが、内情を聞いてみると「反対」はこの男性1人だけ。「日本の“根回し不足”を感じました。しかも、証言できる時間は2、3分しかないという。これでは最初から“負け”に行くようなものですよ」

 男性は、身の安全も考えて出席はせず、反対意見を書面で提出するにとどめた。圧倒的多数の韓国系住民が「賛成」するなかで、実名で「反対」を表明することは家族や親類にまで累が及ぶ可能性がある。

 男性は、アメリカでの一連の「反日」行動を放置すれば、ますます世界へ広がってゆくだろう、という。それが、東アジアにおける米・日・韓の連携を弱体化させることになり、中国や北朝鮮の“思うツボ”になることを憂慮する。

 「『軍隊と性』の問題は世界中にあるが、軍隊が慰安婦にするために強制連行したのは日本しかない…アメリカでは、そこが問題視されている。その点を残したまま何度、謝罪してもダメ。むしろ“事実”だと認めたことになることを分かっていない。日本政府がそれに近いことを公式的に認めてしまった『河野談話』(平成5年)を勇断をもって否定するしかありません」=敬称略(文化部編集委員 喜多由浩)

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