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【クローズアップ科学】米ハワイ・キラウエア火山の噴火 新鮮なマグマ運ぶ「ホットスポット」

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キラウエア火山の割れ目噴火と流れ出た溶岩=5月、米ハワイ島(米地質調査所提供)
キラウエア火山の割れ目噴火と流れ出た溶岩=5月、米ハワイ島(米地質調査所提供)

 溶岩が流れ出す激しい噴火が続く米ハワイ州ハワイ島のキラウエア火山。地下深くからマグマが上昇する「ホットスポット」という特殊な場所にあり、世界で最も活動的な火山の一つだ。1980年代に始まった噴火よりも山頂から遠い麓で起きており、専門家は推移を注意深く見守っている。(小野晋史)

地下に通り道

 キラウエアはハワイ島の南部にそびえる標高約1200メートルの活火山。毎年のように噴火を繰り返しており、山頂に比較的近い場所では1983年から噴火が続いている。地面の割れ目から溶岩が噴出し、水のように流れ出すのが特徴だ。

 マグマは山頂の直下にたまっているとされ、そこから東西に延びた地下の通り道を流れて地表に噴出する。通り道は幅数十センチ~約1メートルのトンネルが幾筋も集まったイメージで、今回は東側に延びたトンネルの一部を流れた。

 今月3日に始まった噴火は、山頂から東に約40キロも離れた場所で起きた。長さ数キロにわたって火口が次々と現れ、火柱が上がっており、流れ出た溶岩は海に達した。

 今回の噴火はいつまで続くのか。マグマは山頂から離れるにつれて通り道の途中で固まり、目詰まりを起こしやすくなるため、東京工業大の高橋栄一名誉教授(実験岩石学)は「83年に噴火が始まった場所よりも長く続くとは思わない」と指摘する。ただ、活動の中心が今回の場所に移る可能性もあるという。

水のような溶岩

 地球の表面には陸や海底を乗せてゆっくり動くプレート(岩板)があり、その下にはマントルと呼ばれる分厚い岩石の層がある。ハワイ島を乗せた太平洋プレートは日本海溝などで地下に沈み込んで消滅するが、プレートに含まれる物質は何億年もの時間をかけてマントル内を対流する。

 キラウエアは、この対流によって熱い物質が上昇し続けているホットスポットに位置する。その熱で溶けた岩石がマグマとなり、プレート内を突き抜けて地表に達し噴火する仕組みだ。

 ホットスポットではマグマが速いスピードで作られ、次々と供給される。東京大地震研究所の前野深准教授(火山地質学)は「ホットスポットは南米沖やインド洋などにもあるが、中でもハワイ島周辺は活動的な場所だ」と話す。

 できたての新鮮なマグマは、粘り気のもとになる二酸化ケイ素が少ない。キラウエアの溶岩が水のようにサラサラなのは、このためだ。

 ハワイ島のホットスポットの範囲は直径数十キロとみられ、キラウエアの他にも地球上で最大の火山とされるマウナロアや、南東沖の海底にあるロイヒ火山が含まれる。

 ホットスポットの位置はほとんど動かないが、生まれた火山は太平洋プレートの上に乗っているため、ベルトコンベヤーで運ばれるように年間約10センチのペースで北西に移動する。

 このためキラウエアも、遠い将来はホットスポットから外れて噴火が収まるとされる。北西にあるオアフ島など他のハワイ諸島の島々も、かつてはホットスポット付近にあって活発な火山活動を繰り返していた。

 一方で新たな火山も生まれている。海面下で成長しつつあるロイヒは最も若く、キラウエアの後継者といえよう。

富士山も要注意

 日本の火山噴火はホットスポットではなく、プレートが沈み込む場所で生じたマグマによって起きる。ハワイと比べ粘り気があり、爆発的な噴火が起きやすい。キラウエアと同じ玄武岩質の溶岩を出す火山もあるが、やや粘り気があり、水あめのようなイメージだ。

 溶岩が流れやすい日本の代表的な火山は富士山で、9世紀後半の平安時代には割れ目噴火が起こり、大量の溶岩によって現在の青木ケ原樹海や富士五湖の一部が形成された。伊豆大島や三宅島なども同様で、1983年に起きた三宅島の噴火では溶岩が集落の一部をのみ込んだ。

 溶岩流は降灰などと比べ発生頻度は低いが、壊滅的な被害を及ぼしかねない。産業技術総合研究所の高田亮氏(火山学)は「富士山は300年以上も静かだが、今後噴火しないとは限らない。溶岩が流れ出る可能性にも注意する必要がある」と話す。

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