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金正恩氏の「核・ミサイルを使った恐喝」 「海底に葬ってやる」と威嚇された日本に備えはあるのか

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金正恩氏の「核・ミサイルを使った恐喝」 「海底に葬ってやる」と威嚇された日本に備えはあるのか

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北朝鮮のICBM「火星15」(ロイター) 1/1枚

 北朝鮮が11月29日、2カ月半ぶりに、「火星15号」と呼ぶ、「米本土まで届く」という新型のICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した。(夕刊フジ・12月5日掲載)

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 ミサイルは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の“お気に入りの試射場”となっている、日本列島わきの日本海へ撃ち込まれた。青森県沖合の日本の排他的経済水域(EEZ)だ。

 北朝鮮の朝鮮中央テレビは同日、「重大報道」として、興奮した口調で「国家核戦力完成の歴史的大業が実現した」と発表した。

 私はだからといって、米国が北朝鮮に先制攻撃を加えることはないと、判断している。「火星15号」がICBMであって、北朝鮮が自賛したように、米全土を射程に収める能力があるのか、核弾頭の小型化に成功したか、判然としない。

 私は1週間前までワシントンに滞在し、ドナルド・トランプ政権や、国防総省を囲む人々と意見を交換した。トランプ大統領は威勢よく北朝鮮を威嚇してきたものの、今回試射したミサイルが仮に米本土に届くものであるとしても、北朝鮮がよほどの挑発行為を行わない限り、米国が今後、北朝鮮に軍事攻撃を加えることはないと思う。

 正恩氏も一歩間違えば、米国から「100倍返し」があるかもしれないから、ミサイルの試射や核実験に慎重にならざるを得ない。

 韓国・朝鮮人は大昔から不安定な環境で生きてきたから、何よりも博打が好きだ。韓国で結婚披露宴、法事である祭祀(チェサ)に招かれると、男たちが宴の脇で必ず花札(ファット)にふけっている。

 正恩氏はいま肝試しを、楽しんでいよう。

 朝鮮半島をめぐっては、緊迫した状況がずっと続き、北朝鮮はミサイルと核弾頭の性能を刻々と向上させるだろう。

 その間、米国で政変が起こって、米国が「日本を守る意志力」を弱めるかもしれない。

 あるいは、サウジアラビアの若い実力者である皇太子が現在、性急な改革を進めているが失敗して、イスラム過激勢力によってアラビア半島から中東全域が、大きく混乱するかもしれない。

 その場合、米国の現在の軍事力では、東アジアと中東の二正面を守ることができない。東アジアが留守になる。日本にとって悪夢だ。

 北朝鮮はこれまで「日本を海底に葬ってやる」と威嚇してきた。

 もし、正恩氏が「日本が朝鮮半島を奴隷化した罪を償うために、○兆円の賠償金を払わなければ、核攻撃を加える」と恐喝してきたら、日本はどうしたらよいのか。

 日本人は真剣に考えなければならない。

 ■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『小池百合子氏は流行神だったのか』(勉誠選書)、『「美し国」日本の底力』(ビジネス社)など多数。