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【記者が見た中国共産党大会】「強軍」スローガンの下の素顔

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「強軍」スローガンの下の素顔

記者が見た中国共産党大会更新

 「習(近平)主席だけがわが強軍を率いることができるのです」

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 人民解放軍の党代表の記者会見が22日に行われた。軍代表の会見は初めてという。「強軍」を目指して軍改革を進める中、対外的に情報を発信する姿勢は評価したい。もちろん内外の疑問に答えるよりも、軍がどう見られたいのか宣伝する場だとは予想していた。冒頭の発言は「軍は習氏に忠誠を誓っている」という名刺代わりだろう。

 出席したのは空軍と陸軍の計4人。2人は実戦部隊ではなく、中央軍事委員会国際軍事協力弁公室の女性将校と国防科学技術大学の教授だった。

 女性将校は質問を待ち構えたように延々と国連平和維持活動(PKO)や人道支援の実績を紹介し、「大国の役割」を果たしていると語った。「中国脅威論」の打ち消しだと理解した。

 中国版GPS「北斗」を開発した教授は、米ソ(露)の衛星網に追いつく苦労を振り返った。習氏が示した「世界一流の軍隊の建設」も実現可能だと言いたいのだろう。

 実戦部隊の2人は、軍の「正面」が西太平洋(台湾)と東シナ海、南シナ海であることを示唆した。陸軍の水陸両用戦車の戦車長は南シナ海と台湾を担当する南部戦区に所属。空軍からは戦略爆撃機H(轟)6Kの航空兵団長が出席し、2015年に始まったバシー・宮古海峡の通過は現在、2海峡同時通過と遠洋飛行が「常態化している」と誇った。

 「未来の軍隊を作り上げてこそ明日の戦争に勝てる」という中国人記者の指摘は、軍が長期戦略に基づく兵力整備を志向していることをうかがわせた。翻って、日本の防衛力整備は、目下の北朝鮮情勢に付け焼き刃で対応していないか。習氏が掲げる「強軍の夢」は、スローガンとして片付けるのではなく、冷静な分析と腰を据えた対応策が必要だと感じた。(台北支局長・田中靖人)