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ロヒンギャ問題、煮え切らぬスー・チー氏 国際社会は保護要求、国内世論は不法移民扱い

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ロヒンギャ問題、煮え切らぬスー・チー氏 国際社会は保護要求、国内世論は不法移民扱い

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19日、ミャンマー・ヤンゴンで、スー・チー国家顧問兼外相の写真を持ちながらスピーチの放送を見る支持者ら(AP) 1/2枚

 【シンガポール=吉村英輝】ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャが国外脱出を続けている問題で、アウン・サン・スーチー氏は19日、非難を強める国際社会に理解を求めたが、国内世論が反ロヒンギャで一致する中で保護策は打ち出しにくく、内外の“板挟み”にあえいでいる状況だ。

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 国際人権団体は、ミャンマー当局がロヒンギャに「組織的な焼き打ち」を加えたと強く非難している。バングラデシュ警察によると、南東部コックスバザールでは18日、ロヒンギャ難民の高齢者2人がテント内で、野生のゾウに踏まれ死亡した。避難所はパンク状態で、流入が続く避難民の環境は悪化の一途だ。

 ニューヨークの国連総会では、ロヒンギャの人権問題も主要議題だ。総会への出席を取りやめたスー・チー氏による19日の演説は、英語で約30分間行われただけでなくテレビ中継され、国際社会からの非難を牽制(けんせい)するため「先手を打った」(ロイター通信)格好だ。

 もっとも、スー・チー氏は演説で、国民が反発する「ロヒンギャ」という名称は一切、使わなかった。

 ミャンマー国内では、国軍と対立を続ける少数民族武装勢力や、スー・チー氏を担いで民主化運動を進めた元学生リーダーの市民組織「88世代学生グループ」さえも、ロヒンギャを「不法移民」と見なし拒否感を隠さない。他民族のイスラム教徒でさえ、ロヒンギャを蔑視するほどだ。

 ロヒンギャの武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)は、国際テロ組織との関与を否定する。だが、隣国マレーシアの治安当局は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が、ロヒンギャ救済を大義名分にマレーシア人を勧誘中だと指摘する。スー・チー氏による混乱収拾が急がれる。

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  • 19日、ミャンマーの首都ネピドーで演説するアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相(共同)