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【北ミサイル】現行のMD強化限界に 敵基地攻撃能力、迎撃態勢強化の早期検討も

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現行のMD強化限界に 敵基地攻撃能力、迎撃態勢強化の早期検討も

北ミサイル更新
防衛省に配備されているPAC3=8月29日、東京都新宿区(桐原正道撮影) 1/1枚

 北朝鮮が29日に発射した弾道ミサイルは、北朝鮮の脅威が日本にとって確実に現実化していることを改めて突きつけた。日本政府はミサイル防衛(MD)態勢の強化を図っているが、北朝鮮の脅威を抑止する上では限界があることは明白になってきた。「これまでにない深刻かつ重大な脅威」(安倍晋三首相)に対処するためにも、敵基地攻撃能力保有やミサイル迎撃態勢の一層の強化の早期検討を求める声は強まりそうだ。

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 「イージス・アショア(イージス艦の迎撃システムの地上配備型)、あるいは新しい装備をなるべく早くやるべきだ」

 「予備費を使ってでもやれることからやるべきだ」

 29日午後の自民党北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部では、政府への要望が相次いだ。

 現在の日本のMDは、日本海上に展開する海上自衛隊のイージス艦の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が大気圏外で迎撃し、撃ち漏らした場合に空自の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が高度数十キロの上空で着弾直前に迎撃する二段構えをとっている。

 ただ、PAC3を全国各地に配備することは現実的に難しい。仮に今回のミサイルが失速し、PAC3の配備がない地域に落下した場合は、被害が発生した可能性が十分に考えられる。より高高度での迎撃に関しても態勢は十分とは言い難く、イージス・アショアの導入によるMD態勢の強化や敵基地攻撃能力の保有が与党内で議論されてきた。

 自民党は3月にまとめたミサイル対策の提言で、政府にMD強化や巡航ミサイルなどをはじめとする「敵基地反撃能力」の保有の検討をただちに開始するよう求めた。防衛省はイージス・アショア導入に向け、平成30年度予算概算要求に関連経費を盛り込む方針を決めた。

 しかし、敵基地攻撃能力の保有には、命中精度を上げるための衛星利用測位システム(GPS)の運用や敵基地の位置情報把握のための偵察衛星などの装備体系が必要で、日本は保有していない。

 安倍首相は6日、広島市内で「敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、保有する計画もない」と明言した。同時にこうも発言している。

 「国民の生命と財産を守るため、何をすべきかという観点から常に現実をしっかり踏まえながらさまざまな検討を行っていくべきものと考えている」

 首相の政治決断が求められている。(杉本康士、原川貴郎)