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【ウクライナ情勢】クリミア半島で1週間続く大停電のわけ…送電線爆破、“報復”のサボタージュ? ロシアの無策?

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クリミア半島で1週間続く大停電のわけ…送電線爆破、“報復”のサボタージュ? ロシアの無策?

ウクライナ情勢更新

 【モスクワ=遠藤良介】ロシアが昨年3月、一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島で、大規模な停電が約1週間にわたり続いている。同半島に電力を供給する、ウクライナ本土の送電施設が何者かに爆破され、修復作業が行われずにいるためだ。クリミアは電力の3分の2を本土に依存しており、その脆弱(ぜいじゃく)さが露呈した。ロシアは、ウクライナが意図的に送電を再開しないと非難しており、両国関係の緊張が再び高まっている。

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 発端は今月22日にかけての夜間、クリミアに近接するウクライナ・ヘルソン州の2カ所で4基の送電塔が爆破されたこと。クリミアの地元政府は非常用のガスタービン発電装置を作動させたが、半島の主要都市では1日数時間しか電力をまかなえず、都市機能がまひ状態に陥った。照明や携帯電話、交通機関など広範な分野に影響が出ている。

 送電塔爆破の実行犯は不明だが、現場付近ではクリミアの先住少数民族、タタール系(クリミア・タタール人)やウクライナ民族派の活動家がピケを張っている。彼らはウクライナへのクリミア返還を要求する立場で、「ロシアがウクライナ人の政治犯を釈放するまで送電塔の修復は認めない」などと主張している。

 クリミアは電力や淡水、食品などでウクライナ本土への依存度が高かったにもかかわらず、ロシアが人工的な「国境線」を引いた。ウクライナ政府は送電問題に関する公式説明を避けており、ピケ隊を黙認しているとの見方もある。「対テロ協調」の国際的機運が出ている中、ウクライナには米欧が対露制裁を緩和することへの警戒感がある。

 ロシアは送電停止を「政治的行動だ」と非難し、ウクライナへの石炭供給を制限する“報復措置”を発動。ロシアはクリミアへの海底電力ケーブル敷設を進めているものの、1本目は12月中旬以降、2本目は来年半ばの稼働予定で、電力不足は長期化する可能性がある。クリミアでは親露的なロシア系住民が多数派だが、一部にはロシアや地元政府の「無策」を批判する声が出始めている。