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【ギリシャ危機】ATMに行列、おろした金をマットレスに隠す…“破綻”秒読みのギリシャ 「現金持っても泥棒に狙われるだけ」

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ATMに行列、おろした金をマットレスに隠す…“破綻”秒読みのギリシャ 「現金持っても泥棒に狙われるだけ」

ギリシャ危機更新

 【アテネ=内藤泰朗】「この先、いったいどうなるのか」-。欧州連合(EU)の対ギリシャ金融支援の期限切れを迎えた30日、ギリシャでは、経済の先行きに対する国民の不安が渦巻いていた。同国政府は6月29日、銀行からの引き出し額を一日60ユーロ(約8200円)に制限。国民は政府や銀行への信頼を急速に喪失しつつあった。

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 30日午前、国際的な観光地のアテネ中心部では、観光客の姿はほとんど見られず、警察官の姿ばかりが目立つ。前日からシャッターを閉じたままの銀行の現金自動預払機(ATM)の前には朝から行列ができた。

 「いつまで統制が続くかわからないぞ」「20ユーロしか引き出せなかった人もいたそうだ」「年金はちゃんと銀行口座に振り込まれたらしい」…。人々の間では、真偽不明の噂や憶測が飛び交う。

 アテネ中心部のタベルナ(食堂)のマネジャー、ステラさん(32)は、「将来に不安がある」とした上で、母親や高齢の年金生活者たちが銀行からおろした現金をマットレスの下に隠して蓄えていることの方が心配だと語った。

 「すべてを現金化して持ち歩いている人や、ベッドに隠している人もいるが、泥棒や強盗に狙われるだけ。それでもみんな政治家や銀行を信じていない。観光客も減っている。チプラス首相を信じたが、ユーロ圏を離脱しても、旧通貨のドラクマに戻っても、苦しいのは何も変わらない」

 ステラさんは、EU側の財政再建案への賛否を問う7月5日の国民投票で、緊縮か反緊縮か、どちらに投票すればいいか分からなくなったと首を振った。

 アテネ中心部の広場は6月29日夜、反緊縮財政路線のチプラス首相を支持する市民デモが行われ、数万人の人々で埋め尽くされた。参加者は緊縮に「ノー」を投じようと気勢を上げた。

 首相は29日夜、国際通貨基金(IMF)への債務返済は事実上不可能との認識を示し、同国がデフォルト(債務不履行)に陥る恐れは増した。それでも「子孫がユーロの奴隷となるのは阻止しなければならない」「失うものはもう何もない」との声も聞かれた。

 ただ、世論調査では、EUの緊縮策を受け入れてユーロ圏への残留を望む声も多い。銀行の営業停止という異常事態は、チプラス氏を支持する失業者や年金生活者、左派系の労働者にも打撃を与えている。

 在アテネの消息筋は、「EUの改革案が国民投票で支持された場合、チプラス氏は辞任すると言っている。そうなれば、民族主義に傾倒した極右政党『黄金の夜明け』などが台頭してくる懸念もある。ギリシャの危機は、これからが正念場だ」と語った。