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【四川地震】「救命が最優先」 李首相が陣頭指揮アピール

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 【雅安(中国四川省)=河崎真澄】中国の李克強首相が、四川省雅安市で起きた大地震で陣頭指揮をとる姿勢をアピールしている。地震発生当日の20日午後に震源地に近い蘆山県入り。余震が続く中、テントで一夜を明かし、21日は白がゆと漬け物の質素な朝食を食べる姿や、救援の兵士らに「救命が最優先だ」とハッパをかける姿が、中国メディアで繰り返し報じられた。李首相は3月に就任したばかり。いかに国内から信任を得るか、腐心している。

 李首相は21日午前、蘆山県で記者会見し「政府は必ず被災者を助ける」と強調。がれきに埋まった被災者の生存率が下がる「地震後72時間」の救出作業に全力を挙げるよう直接指示したと語った。

 倒壊した建物の前で「生存者はいないか!」と5回も繰り返し叫ぶ様子が報じられた。その姿は前任の温家宝氏に重なる。温氏は9万人近い死者・行方不明者を出した5年前の四川大地震の際、発生当日に現地で陣頭指揮し、評価を得た。

 李首相は被災者らに次々と声をかけ、近くからの携帯電話での撮影も拒まなかった。利用者が5億人を超す中国版ツイッター「微博」への投稿とネット世論を意識したとみられる。

 一方、被災者が続々と運び込まれた雅安市人民医院では21日、関係者が「海外メディアに取材は許可しないよう上層部から昨夜通達があった」として産経新聞記者に退去を求め、取材を拒否した。救援活動の問題点や被災者の不満など、批判的な報道を牽制(けんせい)する狙いがあるようだ。

 温氏と胡錦濤前国家主席の時代は、2003年の新型肺炎(SARS)と08年の四川大地震で、批判を浴びつつも事態収拾で一定の成果を収めた。ただ、李首相と習近平国家主席は、3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で就任してわずか1カ月あまりで、鳥インフル感染拡大と地震というダブルパンチを受けた。

 いきなり真価を問われる事態となった習・李体制には「情報操作を武器に災難を政権の安定に結びつけようとしている」(地元紙記者)との見方がある。李首相の蘆山県滞在は24時間にも満たず、21日午前には被災地を離れた。

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