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日本酒 欧州に愛されたい 京都・伏見の老舗酒蔵、ワイン製法取り入れ

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外国人向けにつくった日本酒をオンラインでフランスのソムリエらにPRする増田徳兵衛社長(左)=京都市伏見区
外国人向けにつくった日本酒をオンラインでフランスのソムリエらにPRする増田徳兵衛社長(左)=京都市伏見区
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 全国有数の酒どころとして知られる京都・伏見で、老舗の酒蔵が海外展開を視野に、京都独自の清酒酵母を使用した日本酒「月の桂」シリーズを発売した。コロナウイルス禍でも衰えない海外での日本酒人気を背景に、ワインの醸造と同じ手法で開発。第1弾はすぐに完売しており、蔵元関係者は「日本酒を知らない外国人に手に取ってもらい、世界中に広めたい」と意気込んでいる。(南里咲)

 「ワインと日本酒はどう違うの?」「酵母はどうやってつくるの?」

 江戸前期の延宝3(1675)年創業の老舗「増田徳兵衛商店」(京都市伏見区)が2月19日に行ったオンラインイベントでは、パソコンの画面越しにフランス語などで質問が次々と飛び出した。

 このイベントには、フランスやイタリアなど欧州各国からレストランオーナーやソムリエ約50人が参加。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使って同社とつなぎ、酒蔵の内部の様子を紹介したほか、新作の日本酒や酵母についての説明を行った。

 同社は昨年10月、看板商品「月の桂」シリーズで海外向けの新たな酒を発売。「月の桂 ブランシェ」はフルーティーな香りとすっきりとした酸味が特徴で、ハーブやチーズにも合う「日本酒らしくない日本酒」に仕上げた。「月の桂 アッサンブラージュ」はワインをブレンドするアッサンブラージュ(調合)という手法を使って、ブランシェと別の酵母の酒をブレンドし、奥深い味わいと香りを持たせた。

 あえて日本酒では使わない製法に挑戦。約1年かけて、香り高く、味わい深い「複雑な味」を生み出した。

 この2種類の開発の背景にあるのは、海外での日本酒ブーム。「最大の市場である中国はブランド志向が強い一方、欧州では『自分が飲んでおいしいと思ったものを飲む』傾向がある」と分析するのは、増田徳兵衛社長(65)だ。まだ市場が発展しきっていない欧州に狙いを定め、日本酒初心者でも飲みやすい味を追究した。

 使うのは、京都由来の素材のみ。「酒米の王様」とされる京都府産の山田錦のほか、京都市産業技術研究所が開発した酵母、伏見の名水から造り上げ、外国人にも浸透している「京都」にこだわった。

 発売後は国内外で予想を上回る人気を集め、2カ月で完売。現在は仕込み中で、4月に追加分の販売を再開する見通しだ。増田さんは「コロナ禍でも海外での日本酒人気は上がり続けていて、大きなチャンス。今までにはない新しい日本酒を味わってほしい」と話している。

■量より質 海外でブームに

 「SAKE」として海外で知名度が高まっている日本酒。財務省貿易統計によると、昨年の輸出総額は約241億円と、コロナ禍でありながら前年より3・1%増加しており、11年連続で過去最高を更新中だ。

 一方、輸出量は前年より12・7%落ち込み、2年連続で減少。新型コロナの感染拡大で欧米のレストランが苦境に立たされた半面、中国の富裕層による「家飲み」需要に後押しされ、量よりも質を求める傾向が強まっているとみられる。

 昨年、輸出金額が大幅に伸びたのが香港と中国だ。香港は前年比56・7%増(61億7千万円)、中国は同15・8%増(57億9千万円)と急増。長年1位を維持していた米国を抜いて1、2位に躍り出た。輸出単価でも米国が9億6200万円なのに対し、マカオが40億6700万円、香港が23億5千万円と高級志向が表れている。

 政府は昨年11月、農林水産物・食品の輸出拡大に向けた実行戦略を策定し、日本酒を重点品目として位置付けた。通信販売や試飲会の拡大など輸出戦略を積極化しており、令和7年には昨年の約2・5倍に当たる600億円の輸出額を目指している。

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