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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】西勇離脱の非常事態、コロナ禍特別ルールを上手に利用せよ

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ぜんそくでキャンプを離脱した西勇輝(手前)=かりゆしホテルズボールパーク宜野座(撮影・門井聡)
ぜんそくでキャンプを離脱した西勇輝(手前)=かりゆしホテルズボールパーク宜野座(撮影・門井聡)
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 虎投崩壊の大ピンチを救うのは、コロナ禍特別ルールの活用しかないでしょう。阪神は沖縄・宜野座春季キャンプの後半を迎えて矢野燿大(あきひろ)監督(52)が頭を抱える“異変”続出です。左腕の高橋遥人投手(25)が右脇腹筋挫傷、開幕投手の最有力候補だった西勇輝投手(30)もぜんそくの症状で帰阪。先発投手が2人も戦線離脱です。投手力の質量が最大のアドバンテージだった阪神は、3月26日のシーズン開幕戦(ヤクルト戦=神宮)からどのような戦い方をすればいいのでしょうか。最善手はコロナ禍特別ルールを最大活用することでしょう。外国人投手4人、外国人野手1人の4・1ルールと延長十回打ち切りを視野に入れるしかありませんね。

開幕ダッシュ失敗は許されない

 これは大変です。3年目を迎え、勝負の年の矢野阪神にとってはいきなりの大試練到来です。今キャンプは序盤から怪物ルーキー佐藤輝明内野手の豪快な打撃に酔いしれ、いよいよ16年ぶりのリーグ優勝に向けて臨戦態勢が整うのか…と思いきや、キャンプ終盤に来て思わぬ“異変”が続出しました。

 まず昨季は5勝をマークし、今季こそ左腕エースとして先発ローテーションの一角を担ってくれると期待した高橋が16日の楽天戦の登板中に異変を感じ、右脇腹筋挫傷と診断されました。その後は別メニューで調整していましたが、25日の練習終了後に帰阪。「毎回けがばっかりして自分にすごく腹が立つ。いつもこういう形で(期待を)裏切って申し訳ない」とうなだれていました。

 大激震はさらに続きました。今度は開幕投手の最有力候補の西勇がぜんそくの症状で離脱したのです。西勇はキャンプ中から持病のぜんそくの症状が治まらず、せきの影響からか腰痛も訴えて別メニューの調整を行ってきましたが、23日に精密検査のために帰阪したのです。筋肉や右肩やひじの故障ではなく、症状が治まればすぐにでも戦列復帰は可能でしょう。ただし、ぜんそくは怖い病気です。こじらせれば大変なことにもなりかねないので、慎重な復帰プランが必要でしょう。

 西勇の復帰時期は不鮮明ですが、もし療養に時間を要するならば、一度作り上げた肩やひじ、身体の状態を最初からやり直さざるを得ず、1軍のマウンドに戻ってくるにはそれなりの時間が必要だと思いますね。

 高橋と西勇。2人は昨季、5勝と11勝をマークしています。2人あわせて16勝がこのままならシーズン当初は“消えて”しまうのです。そこに新外国人投手で昨季、韓国球界で20勝をマークしたラウル・アルカンタラ投手(28)が新型コロナウイルスの感染防止による外国人の入国制限が解けず、来日のメドが立っていないことも、ボディーブローのように効いてきます。

 「ウチの最大のアドバンテージは投手力。質量ともに他球団を上回っているのが最大の特長だった。それが西勇と高橋の離脱でアドバンテージまで消えてしまう大ピンチや。監督も頭が痛いやろ。西勇の一刻も早い回復を願うしかないかな」とは阪神OBの言葉ですが、昨季のチーム成績を見ればそう指摘されるのも当然です。

 60勝53敗7分けで巨人に次ぐ2位に入った昨季、阪神のチーム成績を見ると、打撃部門はチーム打率2割4分6厘でリーグ5位、得点494はリーグ4位でした。一方、チーム防御率3・35は2位、失点460も2位です。誰がどう見ても、投手力で競り勝った2位だということが分かります。それが、いきなり先発ローテーションの投手が2枚も欠けそうな大ピンチ。

 しかし、ひたすら西勇の回復を神頼みしていてもラチがあきません。3月26日のヤクルト3連戦からセ・リーグの5球団すべてとの対戦が終わる4月11日のDeNA戦(横浜)までの15試合を、とりあえず勝率5割以上で戦うことが大事です。西勇の復帰やアルカンタラの合流(メル・ロハス・ジュニア外野手の合流も同時期と想定される)を待って、そこから陣容を整えて、一気に貯金を増やしていく…。現時点で考えられる優勝へのロードマップはコレでしょう。昨季のような開幕から2勝10敗という大失敗は許されませんね。

継投策が生命線

 では、どうしますか。着目すべきはコロナ禍における2021年特別ルールです。1月19日の実行委員会で今季のルールが決定しましたが、ほとんどが昨季のルールの継続です。延長十回で打ち切り。出場選手登録は29人→31人、ベンチ入りは25人→26人、外国人選手の登録は5人でベンチ入りは当日に決められる4人です。そこでルール変更があったのは、昨季まで外国人選手は例えば投手4人、打者1人で一度でも登録すれば、その後は投手か打者4人と逆が1人…という4対1の割り振りを変えることができなかったのです。それが、今季からはシーズン中に4対1から3対2に変更できるようになったのです。

 阪神はこのルール変更をうまく利用すべきでしょうね。来日できていないロハスが戦列に参加するまでは投手4人(チェン、ガンケル、エドワーズ、スアレス)を登録し、打者はサンズかマルテの1人。これで当面はしのぎ、ロハスが加われば投手3対野手2(ロハス、サンズかマルテ)に変更するのです。

 そして、開幕から5月上旬までは先発チェン以外の外国人投手3人はリリーフ待機とするのです。どうしてか? きっと当面の先発ローテは青柳、チェン、藤浪、秋山、岩貞、小野、西純、岩田らでは? メンバーを見れば完投が期待できそうな投手は青柳、秋山、藤浪まで…ではないでしょうか。これはあくまで希望的な予測で、実際は青柳や秋山、藤浪でさえ、六回から七回途中までで継投策という展開が常識的でしょうね。そうなると僅差のゲームでは早め、早めのリリーフ投入となるでしょうね。

 抑えのスアレスにつなぐ継投策が阪神の生命線になるはずです。なのでガンケルやエドワーズもリリーフでブルペンに入れ、岩崎や馬場、小川、ルーキーの伊藤将、谷川、斎藤らを惜しみなく継ぎこむ態勢が求められませんか。延長十回で打ち切りなので、リリーフ投手が充実していれば、勝てなくても負ける試合は減らせます。

 ベンチ入りは26人です。野手は外国人1人でも大枠では17人(捕手3、内野手9人、外野手5人)。投手は9人となれば、先発を除くリリーフ投手は8人までベンチに入れます。

 それにしても、離脱者が続出すればするほど新外国人選手の入国、戦列参加が待ち遠しくなりますね。アルカンタラやロハスが本当に期待通りかどうかは分かりませんが、まずはチームに一刻も早く加わって、戦力になってほしいですね。

 西勇の戦線復帰がいつになるのか、まだ先行きが不鮮明です。幸いにも…となれば、チームの士気もグッと盛り上がるでしょう。ただ、早期復帰の場合でも今季の阪神のチーム構成を見るとき、ロハス登場までは投手4人対野手1人の構成は一考に値すると思っています。4・1ルールと延長十回打ち切りを視野に入れた戦略戦術が必要ではないでしょうか。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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