PR

新型コロナ 休校要請から1年 教室一変、学びは止めない

PR

その他の写真を見る(1/4枚)

<グラフィックを拡大>

 新型コロナウイルス対策の全国一斉の臨時休校要請から27日で1年。当初は3月2日から春休みに入るまでとされたが、4月に全国に緊急事態宣言が発令されるなどして期間が延長され、多くの学校は6月まで再開を待つこととなった。

 再開後の学校生活は、集団感染を防ぐために一変した。合唱などリスクの高い学習や部活動は制限され、始業式などでの校歌斉唱もなし。常にマスクを着用し、こまめに手を洗い、給食は同じ方向を向いたまま黙って食べるなど、新たなルールも課せられた。休校による学習の遅れを取り戻すために夏休みや冬休みは短縮され、7時間授業や土曜授業も行われた。

 第2波、第3波の感染拡大とともに、児童生徒の感染者も増加。だが数は大人と比べて圧倒的に少なく、再び全国一斉の休校が要請されることはなかった。多くの学校では学びを止めないため、陽性者が出ても全校休校にはせず、濃厚接触者の特定や消毒の期間のみ学級や学年単位での休校にとどめる対応を取った。

 子供たちの学年が再び変わろうとする今も、収束は見通せないままだ。「いつまで続くのか」。現場からは不安の声がもれる。

部活動、行事の制限

 子供たちが楽しみにしていた学校行事や部活動は大きく様変わりした。

 3月の一斉休校は卒業式の時期と重なり、文部科学省は必要最小限の人数での開催を求めた。多くの学校が在校生や来賓の参加を見合わせて式を行ったが、感染予防が困難だとして断念した例もあった。

その他の写真を見る(2/4枚)

 また、修学旅行の中止も相次いだ。文科省は子供たちのために中止ではなく延期にするよう検討を呼びかけ、感染者数が減ったタイミングを見て実施した学校もあったが、近郊への日帰り旅行に切り替える対応も目立った。大阪府内のある公立小は修学旅行を中止にする一方で、「コロナのせいで何もできなかったと思わせたくない」(校長)と社会見学の回数を増やして思い出作りに苦心した。

 休校期間中に多くが停止された部活動は、体が密着するなど感染リスクの高い活動は避け、換気を徹底するといった対策が示され、学校が始まると再開された。ただ、夏の全国高校野球選手権大会が交流試合に形を変え、8月の全国高校総合体育大会(インターハイ)が中止となるなど大会やコンクールの中止が相次いだ。硬式テニスでインターハイを目指していた高校3年生(18)は「休校後は実質的に引退することになり、悔しさを勉強にぶつけるしかなかった」と振り返る。

 部活動や行事、遊びを制限された子供たちへの心身への影響は「これから表面化してくるおそれがある」と、早稲田大の本田恵子教授(学校心理学)は指摘する。特にルールを真面目に守る子供ほど注意が必要といい、「ストレスの兆候はちょっとした行動の変化に出る。保護者は注意深く見守り、子供の話をよく聞いて」と呼びかけている。

35人学級の実現

 一斉休校で生じた学習の遅れや学校での感染リスクに対する危機意識は、オンライン授業や少人数学級など、停滞していた教育政策を進める原動力となった。

 一斉休校は、学校現場のICT(情報通信技術)化の遅れを顕在化させた。校内の通信環境や教員の習熟不足がネックとなり、すぐに授業をオンラインに切り替えて継続できた学校は少数。公立校を中心に学習の遅れを生んだ。

タブレットを活用した小学校の授業。今年度中にほぼ全ての小中学校で端末配備が完了する
タブレットを活用した小学校の授業。今年度中にほぼ全ての小中学校で端末配備が完了する
その他の写真を見る(3/4枚)

 こうした状況への保護者らの不安の高まりを受け、文部科学省は小中学生に1人1台の学習用端末を配布する計画を大幅に前倒しした。当初は令和5年度までの実現を目指していたが、予算の確保を急ぎ、端末の調達でも自治体を手厚く支援。結果、今年度中にほぼ全ての学校で端末配布が完了する見通しとなった。

 活用されていなかったデジタル教科書についても、「授業時間数の2分の1未満」とされていた要件が撤廃される見通し。中央教育審議会が1月にまとめた答申では、感染収束後も見据えたデジタル教科書を含めたICT活用が方向付けられた。

 一方、教室の3密(密集・密接・密閉)回避の必要性から、公立小の全学年で1学級当たりの上限人数を35人に引き下げる方針も決まった。現在の上限は小1のみ35人で、小2~中3は40人。学級人数の一律引き下げは約40年ぶりで、来年度から1学年ごとに5年かけて実現する。これまで予算の壁に阻まれてきた経緯があり、文科省関係者は「コロナがなければ実現は難しかった」と話している。

子供の感染少なく

 一斉休校が要請された当初はインフルエンザのように、学校での集団感染から地域に感染が広がることが警戒されていたが、文部科学省に報告された小学生の感染者のうち、学校内での感染は約4%(昨年6月~今年1月)。これまでのところ、学校現場での大規模な蔓延(まんえん)は防がれている。

 厚生労働省によると、2月24日現在、国内の陽性者数は、のべ42万5448人。10代は2万7997人、10歳未満は1万1990人で、年齢別では突出して少ない。死者はゼロだ。

その他の写真を見る(4/4枚)

 兵庫県立こども病院の笠井正志・感染症内科部長は「子供は体の構造的に感染しにくい」と話す。新型コロナウイルスは鼻や口の粘膜から体内に入り、細胞表面の受容体と結合して感染するが、子供は受容体の数が大人に比べて少ないことが影響しているとみられる。重症例も少なく、日本小児科学会のデータベースでは、今年2月上旬までの子供の感染者のうち半数近くが無症状だった。

 笠井部長は「過度に恐れず、手洗いなどの基本の対策を続けてほしい」と呼びかける。一方で「ウイルスの変異によって、今後、子供が感染しやすくなる状況もあり得る」としている。

この記事を共有する

おすすめ情報