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閉店する駅の名物食堂 駅員らに愛され鉄道ファンも通う

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食堂を訪れた社員と談笑する高田芳紀さん(左)=2月18日、香川県多度津町
食堂を訪れた社員と談笑する高田芳紀さん(左)=2月18日、香川県多度津町
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 JR四国の多度津駅(香川県多度津町)にある構内食堂が3月末で営業を終えることになった。社員食堂として乗務員や駅員らに手頃な値段で食事を提供してきたが建物の老朽化が進行。安全面を重視し同社が閉店を決めた。社員だけでなく一般の客も利用でき、近くで働く人や鉄道ファンたちの空腹を満たしてきた食堂。閉店を惜しみ、食べ納めに訪れる人たちでにぎわっている。

1人で切り盛り

 予讃線と土讃線が乗り入れる多度津駅。駅舎に向かって右手にあるのが食堂だ。引き戸を開けて中に入ると、乗務員らのカバン置き場があり、4人掛けのテーブルが6卓並ぶ。

 最も混雑する昼食時、店内にはおかずを盛った皿がずらり。メニューは日替わりで月曜はチキン南蛮か棒ヒレカツ、火曜はオムライス、水曜はカレーライス、木曜は唐揚げか豚カツ、金曜は魚料理、土曜はうどん。昼食と夕食は500円、朝食は380円で財布に優しい価格設定だ。

 13年前から調理場に立つ高田芳紀さん(63)は「よく『1人でするのはすごい』といわれるが、まったく苦にならない」とにこやかに語る。JR四国の運転士をしていた同級生の紹介が縁で引き受けた。数年の試行錯誤を経て、現在のスタイルに落ち着いた。

できたて、ボリュームが人気

 米を炊くのは3升炊きのガス炊飯器。みそ汁には昆布とかつお節で、うどんはイリコで取っただしを使う。しっかり食べて働いてほしいとごはんを多めによそってしまいがちだ。社員らとたわいない会話をするのが楽しみといい、店を出る際は「頑張ってな」「行ってらっしゃい」と声を掛けて送り出す。

弁当を作る高田芳紀さん=2月18日、香川県多度津町
弁当を作る高田芳紀さん=2月18日、香川県多度津町
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 夕方には乗務員や駅員向けの弁当も作る。2月中旬のある日のおかずは、卵焼き、豚肉のショウガ焼き、唐揚げ、焼き魚など。手際よく容器に盛り付けていく。ひんぱんに注文する社員のごはんの量や好みは把握しており、少しずつ異なる弁当が出来上がる。

 弁当を購入した操車担当の片山隆二さん(30)は「ボリュームがあっておいしい。食べるのを楽しみにしていたのに」と閉店を残念がる。豚カツ定食を注文した助役の石口浩二さん(46)は「温かいものを温かいまま食べられるのはありがたい。なくなるのは寂しい」と話した。

惜しむ鉄道ファン

3月末で閉店する食堂=2月24日、香川県多度津町
3月末で閉店する食堂=2月24日、香川県多度津町
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 JR四国によると、食堂が入る建物は築90年超。屋根をはじめ老朽化が激しく耐震性などを踏まえて閉店を決断した。コンビニエンスストアが近くにあるため新たに食堂を設ける予定はない。社員らと同じメニューを食べられる貴重な場所とあって、最近は営業終了を知った鉄道ファンの来店が増加。高田さんが「週の後半は県外から来てくれる人も多く、とんでもなく忙しい」とこぼすほどだ。

 社員からは「弁当だけでも続けてもらえないか」という要望が寄せられ、幸い体力には余裕がある。高田さんは新たな店を始めることを視野に、閉店後、多度津町と隣接する同県善通寺市で候補地を探そうと考えている。ふさわしい場所が見つかれば70歳ぐらいまでもうひと頑張りするつもりだ。

おかずを盛り付けた皿が並ぶ=2月24日、香川県多度津町
おかずを盛り付けた皿が並ぶ=2月24日、香川県多度津町
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