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【地震を学ぼうQ&A】「余震は数年~数十年続く。100年継続も」「南海トラフ地震は揺れが厳しい」遠田晋次・東北大教授

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平成30年に発生した大阪北部地震。阪神大震災の余震の可能性も=大阪府茨木市
平成30年に発生した大阪北部地震。阪神大震災の余震の可能性も=大阪府茨木市

 3月11日で東日本大震災から10年。大震災の余震とみられる福島沖の地震も発生。南海トラフ地震の発生も懸念される。われわれは地震についてどのように理解を深め、備えるべきか。遠田晋次・東北大災害科学国際研究所教授(地震地質学)に聞いた。(編集委員 北村理)

 Q 昨年は関東の地震が目立ち、首都直下型地震の心配の声がありました

 A 春先は千葉、茨城、栃木で増えていて心配はしましたが、その後静かになりました。このあたりは地震が多い所です。

 Q 長野の地震もよく聞きますが、3月に発生から10年を迎える平成23年東日本大震災の影響もありますか

 A 東日本の地震の一部は大震災の影響と考えられます。なぜかというと、大震災の後には各地で微小地震の増加が継続して観測され、その地域でマグニチュード(M)5クラスの地震が起きているからです。小、中規模の地震が2倍増えたら、大規模地震が起こる確率も2倍になると考えられるので、要警戒といえますね。

 Q 地震は連鎖するものですか

 A 先ほど述べたように、技術的に微小地震を捉えることができるようになり、地震と地震の関連性が分かってきました。大震災後、首都圏の地震が大震災以前よりも増加したことが分かっています。

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 Q 阪神大震災から18年後の25年に起きた淡路島地震は、阪神に影響を受けた地震(余震)といわれました

 A 地震計で捉えられる小さな地震も含めると、余震は数年~数十年続くのが普通です。100年ほど継続しているとみられるケースもあります。なぜ長期間余震が起きるのか。阪神大震災でいえば、震源(淡路島から大阪北部にかけての六甲淡路島断層帯)で地震が起き、ひずみが解消された一方で、周辺の断層に負荷をかけたと考えることができるからです。大阪北部地震もその一つかもしれません。

 Q 阪神大震災ほどの大地震が発生したのだから、阪神間ではしばらく地震が起こらないと考えがちですが

 A 阪神の影響で今後、どこでどのような地震が起きるのかは分かりません。ただ兵庫、大阪、京都、奈良、滋賀といった関西は日本で有数の活断層密集地です。戦国時代末期から安土桃山時代にかけ、関西では天正、慶長伏見地震といったM8級の巨大地震が起きています。今後も地震の可能性があるとみたほうが自然だと思います。

 Q それでも関西より関東の方が地震が多い印象はあります

 A 私は宮城に住んでいますが、確かに東北、関東にいると2~3週間に1度は地震の揺れを感じます。年に1度はもう少し大きめの地震を感じますね。日常的に体感する地震は関西より多いかもしれません。しかし、東日本では地表から遠いプレートに関連する地震や深い所で起きる地震が多いのです。東日本は西日本と異なり、東日本大震災を起こした太平洋プレートのほか北米プレート、南海トラフを形成しているフィリピン海プレートが入り組んでいるので、さまざまなタイプや深さの地震が起きています。一方、西日本は地表に近い活断層による地震が特徴です。

 Q にもかかわらず、関西の方が体感する地震は少ない

 A 地震研究者は、関西で阪神大震災や淡路島地震、大阪北部地震しか起きていないのはおかしいと考えます。直下型地震を起こす活断層は関西の方が関東よりもはるかに多く、その違いは上空から地表を眺めているだけでも分かります。また、地震の起こり方として活動期、静穏期という見方があります。地震は平均的に起こるのではなく、ある時期に集中して群をなして起きる特徴かあります。関西だけなく全国的にここ2年は大地震がないので心配はしています。

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 Q 東日本大震災と南海トラフ地震の違いは

 A 日本列島を形成する陸のプレート(岩盤)と、その下に潜り込む海からのプレートが接する境界面がずれ動くことで地震を起こし、地震による海底の動きが海水を押し上げ大津波を発生さる仕組みは同じです。しかし、東日本大震災は震源が陸地から遠い沖合ですが、南海トラフ地震の震源は一部が陸地の直下にまで延びています。このため南海の方が地震の揺れが激しく、津波の到達時間が短くなります。

 Q 確かに東日本大震災が起きた日本海溝(水深8千メートル)に比べ、南海トラフ(同4千メートル)は深さも陸地からの距離も半分しかありません

 A 日本海溝で北米プレートの下に太平洋プレートが潜り込む角度に比べ、南海トラフでフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込む角度は浅く、水平に近いと考えられています。この違いが東日本と西日本の地震の起こり方の違いに表れています。

 Q 東日本は地表から遠いプレートに関連する地震や深い所で起きる地震が多く、西日本は直下型地震が多いということでした

 A フィリピン海プレートは水平に近い角度で陸側のユーラシアプレートに接し水平方向の圧力がかかりやすく、陸域の活断層が多くなっています。また、両プレートが接している面積が大きく、しっかり固着してはがれにくいため、ひずみが蓄積するまでプレートの地震は起きにくいと考えられています。このことが、西日本ではプレート境界型の深い地震が少なく、地表に被害を及ぼす浅い内陸地震が多い理由です。

 Q 南海トラフ地震が近づくと、西日本で内陸地震が多くなるといわれるわけですね

 A 経験上その傾向はあります。フィリピン海とユーラシアの両プレートの境界のひずみが極限になると、陸地でもひずみが高まりますから、内陸で直下型地震が増えます。平成7年の阪神大震災以降は、南海トラフ地震が起きる前の内陸地震の活動期に入ったともいわれています。

 Q 684年の白鳳地震から昭和21年南海地震までの歴史を振り返ると、南海トラフ地震発生前の40~50年間は西日本で内陸地震が多いとされています

 A はい、そうです。逆に南海トラフの地震後は内陸で地震が少なくなる傾向がみられます。昭和南海地震以降、大阪や京都、滋賀から愛知のエリアで大きな地震がないのは興味深いですが、昭和19年東南海地震の1カ月後に三河地震、江戸時代の安政南海地震(1854年)の1年後に江戸で大地震が起きました。南海トラフに関連する内陸地震は直後の数年は気を付けねばなりません。

 Q 居住地の活断層の確認が必要ですね

 A 活断層は全国で2千カ所と公表されてます。これらがばらばらに地震を起こすわけでなく、ある地域で数十年から百年のタイムスパンでまとまって地震を続発させることもあります。大地震の起こり方も複雑で、単純に1つの活断層が1つの大地震を起こすわけではなく、複数の活断層が同時に動き予想を超える大地震になることもあります。一方、マグニチュード7前後の地震の半数は、活断層地図に示されていない地下に潜んだ活断層によるものです。阪神大震災の被害から分かるように、都市部は地盤が弱い堆積層の上にありますから、家具の固定や耐震強化など十分な備えが必要です。

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