PR

鬼ごっこで骨折も…コロナ休校、増える子供のけが

PR

 新型コロナウイルスの感染拡大による学校の臨時休校以降、子供の体力低下が目立っている。学校では転んだりして骨折する子供が相次ぎ、各地の整形外科医院には、足首や股関節を痛めた子供たちの来院が増えた。専門医は、体力が低下した子供たちが準備不足で激しい運動をすることも危険だと指摘、「安全を第一に考えてほしい」と警鐘を鳴らしている。(加納裕子)

夏休み明けに不安

 「体力低下と暑さで、登下校中に倒れたりしないか心配」。小学1年の長男(7)がいる大阪府豊中市の主婦(44)は、来週から始まる2学期を前に、そう危惧する。

 臨時休校期間中は通わせているスイミングスクールも休止となり、体を動かす機会が減った。散歩やボール遊びで体を動かすよう心掛けたが、「不十分だったと思う」。夏休み中の現在は、熱中症が心配で外での運動ができていないという。

 「6月の休校明けに子供のけがが増えた」と打ち明けるのは、同府内の小学校教諭だ。教諭の勤務する学校では全校児童約350人のうち3、4人が、学校再開後1カ月の間に鬼ごっこ中に転ぶなどして骨折した。登校するだけで疲れたと訴える子が増え、走るタイムも遅くなっていた。

 臨時休校中に各家庭に出していた課題には家での体力づくりも含まれていたが、「外出を自粛する中で、運動もできなかったのかもしれない」と同教諭。体育の授業の前には準備運動を入念に行うなどの対策を取ったが、夏休みで再び体力が低下しないか心配している。

準備期間短く

 中高生にも同じ傾向があるという。兵庫県西宮市の「むこがわ整形外科・スポーツクリニック」に6月、女子中学生が来院した。休校中はもっぱらアニメを見て過ごしていたといい、久しぶりの登校日に学校まで片道徒歩約40分の通学路を往復した翌日、体中が痛くなったという。

 「休校期間中、一切運動せずに筋力や柔軟性が失われた子供の来院が増えています」と同クリニック院長で高知リハビリテーション専門職大学の相沢徹教授(スポーツ整形外科学)。スポーツのし過ぎでなるような筋肉の炎症が、ささいな運動で起こっているという。

 相沢教授がさらに懸念するのが、夏の部活動の試合だ。通常、中高生の部活では基本トレーニングなど3~4カ月の準備期間を経て試合に臨むが、6月の休校明けからわずかな準備期間で大会が行われている。

 「蒸し暑く、熱中症の危険も高い時期に、十分な準備期間もなく炎天下で試合をするのは危険。指導者は子供たちの安全を第一に考えるべきだ」。相沢教授はそう警鐘を鳴らす。

子供も「ロコモ」

 整形外科医らでつくるNPO法人「全国ストップ・ザ・ロコモ協議会」によると、もともとコロナ前から子供たちが体を使う機会は減少。加齢とともに骨や関節などが衰えて動きにくくなる「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)のような状態に子供がなる「子どもロコモ」が増えていたという。

 これにコロナが追い打ちをかけた。同協議会の副理事長で林整形外科(さいたま市)の林承弘(しょうひろ)院長が7月、子供たちが外出自粛でどんな影響を受けたかを調査したところ、来院した小中高生約30人のうち、5割が「体力が落ちた」、4割が「体重が増加した」と答えた。「姿勢が悪くなった」「疲れやすくなった」とした子供も3割おり、「子どもロコモ」が増えた恐れがあるという。

 林院長は「休校中、寝そべってスマートフォンを見るなどして過ごし、姿勢が悪くなったのではないか」と指摘。同協議会では「子どもロコモ」のチェックポイントを公開しており、一つでもできないものがあれば「子どもロコモ」の可能性があるという。

 改善策として、林院長は「生活の中でよい姿勢を身につけることが大切だ」と訴える。よい姿勢の目安は、顎を引いて壁に背を向けて立ち、かかと、尻、背中、頭がすべて壁につく形だ。「姿勢が悪いと肩甲骨が動きにくくなり、やる気などのメンタル面にも影響することがある。早めに大人が介入して対処してほしい」としている。

この記事を共有する

おすすめ情報