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平成関西サブカル史(10)「あまちゃん」ブームに乗り遅れた大阪(平成25年4月)

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関西のご当地アイドルを網羅した電子書籍を報じる夕刊フジの紙面
関西のご当地アイドルを網羅した電子書籍を報じる夕刊フジの紙面
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 平成25(2013)年4月、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の放送が始まったのをきっかけに全国でご当地アイドルブームが起きた。同年夏には、NHKが放送を盛り上げるために「日本中が元気になる!全国『あまちゃん』マップ あなたの町おこしキャンペーン」を開催。全国47都道府県で活動するご当地アイドルを「あまちゃんマップサポーター」に任命した。

大阪代表のアイドル選出に騒然

 関西地区からは奈良県の「Le Siana」と滋賀県の「FrilL FleuR」が順当に選出。兵庫県は姫路市を拠点にする「Hmj姫っ娘5」が選ばれた。

 神戸市を拠点にする「KOBerrieS♪」もいたが、選ばれなかったのはサンテレビ(神戸市中央区)などの地元他メディアとの関係が強かったのが影響したとみられる。

 和歌山県でもテレビ和歌山(和歌山市)の番組内で結成された「Fun×Fam(ファンファン)」ではなくグループ「SA-La」が選ばれたことも理解できた。

 一方、ご当地アイドルの“空白区”とみていた京都府からは、ソロで活動をしている加茂川マコトさんが代表の座についた。もともとは京都市上京区の「出町商店街」のイメージキャラクターとして描かれていたものだったが、誕生1周年を機に2次元から3次元に現れた「リアル加茂川マコト」としてステージデビューした。加茂川マコトの動向は何度か取材していたが、ほどなくして商店街から離れて独自のアイドル活動をするようになったために疎遠になっていた。

 そして、大激戦区といわれる大阪府代表になったのは「大阪DAIZY7」。これまでの取材でまったく聞いたことがないグループだった。調べてみると、エイベックス・エンタテインメント(東京)が手がけるアイドルプロジェクト「iDOL Street」の関西地区に所属するメンバーが結成したグループだった。インターネット上では「事務所の名前で選んだ」などとざわついたのは記憶に新しい。

 NHKは翌26年にも同様の「恋する地元キャンペーン」を展開したが、このときの大阪府代表は「JK21」だった。

民放もご当地アイドル発掘を模索

 民放各局もご当地アイドルの発掘に動き出していた。なかでも、関西テレビは、JK21を主演に抜擢(ばってき)した深夜番組「ラッキー・トリッパー Idol オン・ザ・ラン」を放送した。

 JK21のメンバーらが全国を飛び回って、各地のご当地アイドルらと冒険の旅に出るという設定。出演グループは「LinQ」(福岡県)「Dorothy Little Happy」(宮城県)「まなみのりさ」(広島県)「とちおとめ25」(栃木県)「しず風&絆~KIZUNA~」(愛知県)「ひめキュンフルーツ缶」(愛媛県)など。KOBerrieS♪やFun×Fam、FrilL FleuRといった関西のグループもあった。

 番組制作を手がけたプロデューサーを取材したところ、24年夏に新規事業の計画で「TOKYO IDOL FESTIVAL」を視察し、2日間で2万人以上が集まる大盛況だったことに衝撃を受けたことがきっかけだったという。「大阪でも開催できないか」と模索したが、そこで「全国各地でご当地アイドルが注目を集めているのに、関西だけが冷え込んでいる」ことに気づいたという。

 同局内にある施設「なんでもアリーナ」で「Happy Jam in Osaka」を月1回ペースで開催することを決めたが、「全国からアイドルを呼ぶにしても、番組出演などの実績がなければ簡単には来てくれない」と独自に番組を制作しはじめた。

 番組を中心としたビジネスモデルを模索するようになったが、「Happy Jam-」はなかなか集客に結びつかず、次第に集客が期待できるグループを東京から呼ぶ方向へシフトチェンジしていった。

「知られていない」だけ

 この頃、全国でご当地アイドルブームが拡大していくなか、関西だけが完全に乗り遅れているのを痛感していた。実際に、25年に発足した「日本ご当地アイドル活性協会」が今後の活躍が期待できる「未発掘アイドルセレクト10」を初めて発表したが、関西から選出されたのはゼロ。これが関西が置かれた実情だった。

 そんななか、近畿2府4県を拠点にしている53組総勢延べ242人を網羅した電子書籍「Kansai Walker PRESENTS 関西ご当地アイドル名鑑2013~2014」が配信された。監修を手がけたのは「ポッター平井」の愛称で知られ、アイドルサポーターを自称する構成作家の平井浩一氏だ。

 平井氏は関西各地のライブハウスなどを足しげく回って、アイドルたちの写真やプロフィルなどのパーソナルデータはもちろん、本人たちから寄せられた自己PRも掲載した。

 平井氏はインタビューを行った際、「関西だけが全国から乗り遅れている」と指摘しつつ、「関西にも頑張っているアイドルはたくさんいます。ただ存在が知られていないだけ」と力説していた。

 これまで孤軍奮闘を続けていたなかで、同じ志を持つメディア関係者の出現は非常に心強く感じた瞬間でもあった。(格清政典)

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