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タンチョウは増えたのか 12月調査で過去最多1251羽

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北海道に生息する絶滅危惧種のタンチョウ=釧路市(北海道提供)
北海道に生息する絶滅危惧種のタンチョウ=釧路市(北海道提供)

 赤い頭頂部を特徴とする絶滅危惧種のツル、タンチョウが、北海道の令和元年度第1回越冬分布調査(12月調査)で1251羽確認された。12月調査で過去最多だった前年度より、197羽多い結果となった。明治時代に激減し、昭和27年度はわずか33羽。冬の餌付けなどで回復し、ここ20年は500羽から1000羽程度で増減を繰り返していた。生息数は増えたのか。

保護活動で回復

 タンチョウは本来、渡り鳥だが、国内では北海道東部の湿原を中心に生息する留鳥(りゅうちょう)。乱獲と生息地の開発で激減し、一時は絶滅したとみられていたが、大正末期に再発見された。

 昭和27年に国の特別記念物に指定。冬場の餌不足を補うため、環境省が59年度から釧路地方の鶴居村と釧路市で給餌を始めるなど、保護活動により生息数が回復してきた。

 今回の12月調査は、令和元年12月5日に道内313カ所で実施された。道が今月公表した調査結果によると、昭和27年度の調査開始以来、最も多い1251羽を確認。このうち野生の個体は1215羽で、前年度同期より199羽多い。

 道庁の担当者は「驚いている。生息数が回復している証拠」と話す。ただ、調査前の気象などから、実際の生息数が大幅に増えたかどうかは不明だという。

寒さで釧路に集中

 野生個体の85・4%に当たる1038羽が道東の釧路地方に集中したためだ。続いて多い道東の十勝地方でも138羽、根室地方では24羽にとどまり、11月の寒さで給餌場のある越冬地の釧路地方への移動が早まったとみられる。

 1054羽が確認された前回12月調査(平成30年12月5日)では、野生個体1016羽のうち釧路地方で確認されたのは74・4%の756羽にとどまった。道東の十勝地方で196羽、根室地方で51羽、道北の宗谷地方でも5羽が確認されたが、今回は宗谷地方ではゼロだった。

 国内のタンチョウは夏に道東や道北の湿原などで繁殖し、寒さが厳しくなると、国の三大給餌場がある釧路地方の鶴居村や釧路市に集まって冬を越す。道によると、給餌場にまとまっている方が羽数をより確認しやすいという。

 調査に協力している正富宏之・専修大北海道短大名誉教授は、今回確認された羽数が多かった要因の一つとして羽数の増加を挙げた上で、「実際の総数が一挙に200羽も増加するとは考えられない。従来見落とされてきた個体が今年は多く含まれるとみなすべきだ」とコメントしている。

感染症のリスク

 越冬分布調査は平成元年度以降、毎年度12月上旬の第1回(12月調査)と、翌1月下旬の第2回(1月調査)の計2回行われてきた。寒さが最も厳しい時期に実施される1月調査の方が、確認される羽数が多い傾向があった。

 しかし、1月調査の羽数は減少傾向にある。個体が集まると鳥インフルエンザなどの感染症のリスクが高まるため、環境省は平成27年度から給餌場のエサを減らしている。前年度の1月調査では1031羽にとどまり、12月調査より少なかった。

 12月調査と1月調査を通しての過去最多は平成27年度1月調査(28年1月25日)の1320羽。今回の1251羽は、これに次ぐ2番目の羽数だった。野生動物の生息数を把握するのは難しい。今月24日に実施される1月調査でも羽数が増えるか、結果が注目される。

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