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長さ1メートル 「幻のゴボウ」が再び幻の危機

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収穫した「はたごんぼ」を手にする岡本進組合長(中央)ら=和歌山県橋本市
収穫した「はたごんぼ」を手にする岡本進組合長(中央)ら=和歌山県橋本市
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 高野山麓にある和歌山県橋本市西畑地区の特産巨大ゴボウ「はたごんぼ」。味や香りが良く、大きなものは長さ約1メートル、直径6~7センチにもなる。戦後、一時流通が途絶えたことから「幻のゴボウ」とも呼ばれるが、近年は連作障害や栽培農家の高齢化で再び幻となりかねない状況に陥っている。(山田淳史)

 「今年は連作障害の影響で、本当に出来が悪い。味や香りはいいが、大きさや色も悪いし、そのままでは販売できないゴボウが多い…」。はたごんぼの栽培を手掛ける市内の農事組合法人「くにぎ広場・農産物直売交流施設組合」の岡本進組合長は嘆く。

 栽培地の西畑地区は市街地よりも高台に位置。市内を流れる紀の川を眺望できるのどかな場所にある。はたごんぼは、粘り気のある赤土の畑を利用し、毎年、秋から翌年春にかけて収穫している。

 法人が運営する農産物直売所「くにぎ広場」では、はたごんぼをはじめ、はたごんぼの中をくり抜いてご飯を詰めた「はたごんぼ寿司」や、はたごんぼの炊き込みご飯なども販売しており、観光客らに好評だ。

 市などによると、はたごんぼの栽培は江戸時代にさかのぼる。ただ手間がかかるため、戦後は自家用のみ細々と栽培され、商業的な流通が途絶えたため「幻のゴボウ」とも呼ばれていた。

 地元住民らが本格的に復活を目指し、法人を設立したのが平成25年。県の仲介で農業機械専業メーカー「井関農機」の系列会社「ヰセキ関西」と連携し、ヰセキ関西から効果的な種まきや排水対策などの指導を受け、収穫イベントも開催してきた。

 また、その年に収穫した農作物を高野山へ参詣道を歩いて奉納する風習「雑事(ぞうじ)のぼり」にちなみ、はたごんぼを奉納する行事も始めた。

 そうした地道な努力が評価され、26年度には県推奨の優良県産品に認定されるなど、徐々に知名度を高めてきた。

 ところがここ数年は、農作物を同じ畑で繰り返し栽培すると生育不良になる「連作障害」が顕著になってきた。「数年間、畑を休ませないといけない。今のままでゴボウは栽培できない」と岡本組合長。

 加えて、農家の有志らでつくる法人のメンバーの高齢化も進む。本来の農作物栽培の合間にはたごんぼを手掛ける者が多く、体力的な負担も大きい。

 岡本組合長は、連作障害を避けるための新たな栽培地探しについて、「耕せば他にもあるが、傾斜した畑ばかり。高齢化したメンバーでは栽培が難しい」と話す。

 市も住民の努力で復活した特産品を何とか存続させたい考えで、平木哲朗市長は「この地域は地元振興の拠点。(はたごんぼの)直売所も守りたい」と語る。

 市内の耕作放棄地や休耕地では地力(ちりょく)(作物を生育させる土地の能力)が低下しているといい、市は対策として昨年12月の市議会に農業振興に要する経費など72万6千円を含む一般会計補正予算案を提出、可決された。

 今後、畑の土壌改良などを進める。ただ、特殊な土壌で育つはたごんぼの畑にも役立つかは分かっていない。良質のはたごんぼを優良県産品に認定している県の担当者は「一時的に生産できない場合は認定を外さずに様子を見ることもある」と話している。

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