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ダウン症児の笑顔広がる 大阪の写真家、国連本部で個展へ

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10歳のときの生駒はるなさん(名畑文巨さん提供)
10歳のときの生駒はるなさん(名畑文巨さん提供)
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 ダウン症の子供たちの笑顔を世界中で撮り続ける大阪府池田市の写真家、名畑文巨(なばた・ふみお)さんが、3月21日の「世界ダウン症の日」に合わせて、米ニューヨークの国連本部で写真展を開催する。国連日本政府代表部との共催で、名畑さんは「作品を通じて子供たちのパワーを世界に発信したい」と意気込んでいる。(木ノ下めぐみ)

■「かわいそうじゃない」

 名畑さんは30年以上にわたって子供の笑顔を撮り続け、企業のカレンダーなどにも作品が採用されている。今回の写真展では、日本や英国など4カ国15家族の協力を得て平成26年から撮りためた作品を展示。生命力あふれるダウン症の子供たちの笑顔や、それを見守る家族の優しい表情の写真ばかりだ。

 名畑さんがダウン症の子供の撮影をライフワークにしたきっかけは、仕事で英国に滞在していた25年、現地で知り合った障害者支援者の言葉だった。「遊んでいる子供たちを見ていても、障害の有無なんてわからない。彼らは魂でつながり遊んでいるのだから」。身近に障害のある人はおらず、「障害があるのはかわいそうだ」と考えていたことに気づき、はっとしたという。

「障害への偏見をなくしたい」と話す名畑文巨さん
「障害への偏見をなくしたい」と話す名畑文巨さん
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 その翌年、ダウン症の子供の撮影を始めた。撮影前はどう接していいのか不安もあったが、子供たちはカメラの前でもとびきりの笑顔を見せてくれた。「心の幕のようなものがなく、エネルギー全開でキラキラしている。笑顔の純度が高い」。どの家族も子供を中心に幸せがあふれ、元気をもらっているように見えた。名畑さん自身も撮影しながら力をもらい、「彼らはかわいそうな存在ではない」と感じた。

■広がる出生前診断「プラスの材料に」

 26年に英国で初めての写真展を開催。作品を見た来場客が涙を流し、妊娠中に子供の遺伝子異常を調べる「出生前診断」の結果を待つ英国人女性からは「結果はどうあれ産むつもりでいたけれど、その考えは間違っていなかった」といわれた。日本でも出生前診断は広がり、ダウン症が判明して中絶を選択する人も少なくない。「重要な決断なのに、マイナスの情報が圧倒的に多い。作品がプラスの材料になれば」

 写真展は、国際ダウン症連合が3月20日に国連本部で開催する「世界ダウン症の日会議」にあわせ、3月18~24日に実施。2月7日までのクラウドファンディングで渡航費など100万円を募っている。名畑さんは「日本では障害に対する偏見が根強い。そんな日本から、ダウン症への理解を世界に発信することに意義がある」と話す。

■「家族の幸せ切り取ってくれた」

 「あきらめなければいけない命ではない。写真からそのことが伝われば」

 出展される写真のモデルの一人、京都府の生駒はるなさん(12)の母、裕子さんは出生前診断が広まっている今、多くの人に写真をみてほしいと願う。

 はるなさんはダウン症で、知的障害と聴覚障害がある。裕子さんは出産直後、「この子とどうコミュニケーションを取ればいいのか」と絶望。しかし、はるなさんはその後手話やひらがなを覚え、人の笑顔が大好きで、多くの友人に愛される少女に育った。

 はるなさんが撮影に協力したのは6歳のころ。4年後の撮影でも当時を覚えており、同じポーズを取ったり、名畑文巨さんを笑わせようと面白いしぐさをしてみたり。「名畑さんは、普通の家庭の幸せをそのまま切り取ってくれた」と裕子さん。作品は、すべてを包み込むようなはるなさんのあたたかい笑顔であふれている。

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 クラウドファンディングの詳細は、https://readyfor.jp/projects/nabata-UN

【用語解説】ダウン症

 正式名はダウン症候群。染色体の突然変異によって600~800人に1人の割合で生まれるとされる。筋肉が柔らかく発達の遅れや心疾患などがみられるが、症状には個人差がある。名前の由来は発見者のダウン医師の名前から。21番目の染色体が3本ある人が多いため、国連は3月21日を「世界ダウン症の日」に制定している。

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