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【最新電脳流行本事情】沸騰前からアチチ、令和にバズった30年前の本 ツイート数の年間ランキング

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 出版取次業者や大手書店が、昨年1年間の本のベストセラーランキングを発表している。それに対抗するなんておそれ多いが、昨年収集した読書関連ツイートを基に年間のつぶやかれた本ランキングを作ってみた。1位は樹木希林さんの本ではなく、ちまたの「売れた本」ランキングとは様相が異なる「読まれた本」ランキングという感じ。おそれ多いが発表します。(渡部圭介)

■沸騰前からアチチ

 職場にはびこる関西出身の人々から「値打ちこくな!」といわれるので、結論から書く。1位は小野不由美さんの十二国記シリーズのプロローグ(エピソード0)『魔性の子』で、平成3年の作。

 シリーズの本編として18年ぶりの新作『白銀の墟 玄の月(しろがねのおか くろのつき)』(新潮文庫)1~4巻が10、11月に発売されたことが大きな要因だが、4月からツイートが伸びている。新作にかかわるところがあるだけに、復習して新作に備えた人が多かったとみえる。

 実をいうと件数のトップは『白銀-』だったが、ツイートをつぶさに読むと1巻ずつ感想をつぶやいた人も多い。ツイート件数を4で割るというファンから見れば統計不正に手を染めた。結果『白銀-』は13位になったが、代わりに『魔性の子』がトップに立ったので許してほしい。

 シリーズは12の国がある異世界の物語だが、『魔性の子』は現代日本が舞台。謎に満ちた高校生をめぐる物語だが、後半はちょっと付いていけないし、救いがない。初心者は本編第1作(エピソード1)以降を読み、世界観に慣れてから手に取った方がいい。

■衝撃の上陸、衝撃の厚み

 2位は中国の作家、劉慈欣(りゅう・じきん/リウ・ツーシン)さんのSF小説『三体』(早川書房)。3部作の第1作で、本国ではシリーズ累計2100万部を記録した話題作だとか。登場するエリート科学者の一人は父が物理学者だが文化大革命で惨殺されていて、中国の「黒歴史」も垣間見る。

 発売は7月だが、本国では2008年。表紙の帯に「現代中国最大の衝撃作、ついに日本上陸」とうたう通り、3センチはある本の厚みに衝撃を受ける。さらに早川書房ということで海外作品が苦手な私は尻込みしたが、訳者に3人の名が連ねているだけはある読みやすさ。

 平成30年に「このミステリーがすごい!」(このミス)に選ばれるなど話題になった『屍人荘(しじんそう)の殺人』(創元推理文庫)や、若きピアニストたちの群像劇で史上初の直木賞&本屋大賞ダブル受賞作『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎文庫、上・下巻)、『マチネの終わりに』(文春文庫)は昨年、映画化されたことに加え、文庫化されたためにツイートが伸びたとみられる。

 ところで『屍人荘-』はどうやって映像化したのだろう。まだ映画は見ていないのだが、奇想天外過ぎるトリックをどのように調理したのか、怖いもの見たさに近い感情を抱いている。

■現代社会のお疲れ度

 太宰治の『人間失格』(新潮文庫ほか)と平成28年上半期の芥川賞受賞作で村田沙耶香さんの『コンビニ人間』(文春文庫)が上位に入ったのは謎。日々一定数のつぶやきがあり、チリツモ(ちりも積もれば山となる)としか言いようがない。

 太宰といえば自殺する前に書いた妻宛の遺言書に「みんな いやしい欲張りばか」と記し、『コンビニ人間』はコンビニで働く女性を通じて世の「普通」とは何かを考えさせられる。

 こうした作品が共感を呼ぶ背景に、令和がスタートし、どことなく前向きなムードの影で、閉塞(へいそく)感や同調圧力への違和感があると読み取ったのだが、どうだろう。

     ◇

【解説】集計方法

 昨年2月から収集を開始した「読了」「読んでみた」などのフレーズを含む、読書感想とおぼしきツイート約250万件に含まれていたコミックを除く書籍名をタイトルごとにカウント。4巻セットの『白銀の墟 玄の月』と上・下巻セットで文庫化された『蜜蜂と遠雷』は、発売日以降のツイート件数を巻数で割った。

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