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「イオン」空白県 福井なぜ?

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「福井方式」の先駆けだった福井市の「ショッピングタウンピア」=平成15年(福井県中小企業団体中央会提供)
「福井方式」の先駆けだった福井市の「ショッピングタウンピア」=平成15年(福井県中小企業団体中央会提供)
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 大手コンビニのセブン-イレブンが7月11日に沖縄県に出店し、47都道府県制覇を果たす。大手全国チェーンは津々浦々に出店するイメージだが、小売り最大手のイオンは福井県内に店がない。その秘密は、地元が主体となるショッピングセンター(SC)の運営方法「福井方式」にあるという。

しこりが残る?

 福井県内でイオングループは、コンビニ「ミニストップ」、酒販売店「やまや」を展開するが、総合スーパーやSCはなく、全国唯一の「イオン」空白県。ただ、イオンの前身、ジャスコは県内にあった。

 昭和52(1977)年オープンのSC「ショッピングタウンピア」(福井市)に中核店舗のスーパーとして入居していた。だが、平成15(2003)年に閉店し、運営の協同組合が自己破産した。そして、この建物解体、土地売却をめぐり地元とイオンの間で交渉が難航し、訴訟に発展した。和解して平成21年に建物は取り壊されたものの、6年もの間、廃虚として放置されたのだ。

 さらに、19年ごろ、同県鯖江市内にイオンモールの進出計画が浮上したが、地元の反発で立ち消えになった。両者の間にしこりを残しかねない経緯はあった。

ダイエー対抗策

 「閉店したが、ピアでは新しいSC運営方法のモデルを生み出し普及させた」。こう話すのは、福井県内の小売業界に詳しい県中小企業団体中央会の芹澤利幸・企画振興課長だ。

 そのモデルとは、地元中小商業者が協同組合を組織してSC運営にかかわる方法で、福井が先駆的に取り入れ全国に広げたことで「福井方式」と呼ばれるようになった。

 総合スーパーやSCといった大型店の出店には工場跡地や大規模開発の造成地といった広い敷地が必要。昭和40~50年代、全国でこうした土地を獲得し出店攻勢をかけたのが、「価格破壊」を掲げて流通の雄となったダイエーだった。

 これに対し、大型店の適地を地元業者の協同組合という“連合”で押さえてSCを展開したのが福井だった。芹澤課長は「ダイエーの進出に対抗するため、中小業者が『福井方式』で大きな敷地に集積した」と打ち明ける。結果的にピアは「土地の値上がりを前提とした過剰投資」というダイエーの経営危機と同じ構図で破綻に至ったが、方式としてはその後、福井に定着した。

 イオンの広報担当者は現在福井が「空白地」となっていることについて、「福井に出店の検討がないわけではないが、敷地確保など条件がマッチしないためだ」と話す。かつてダイエーを阻んだ仕組みが、イオン進出の障壁となっているのかもしれない。

北陸新幹線延伸で激化も

 「福井方式」はピアでの苦い経験を経て、現在は県内最大級の「エルパ」(福井市)や、「ベル」(同)、「アル・プラザ アミ」(同県坂井市)といったSC10カ所が採用し、県内に息づいている。

 一方、イオンも虎視眈々(たんたん)と福井の商圏をねらう。平成29年、福井県境に接する石川県小松市に「イオンモール新小松」をオープン。福井県北部も射程に収めた。

 令和5(2023)年春に北陸新幹線が県内延伸し、今後、福井の経済環境は大きな変化が予想される。小売業界の競争もさらに激しくなりそうだ。

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