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韓国で大人気のガイド本「大阪は喜んで立って飲む」ヒットの理由(上)

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「大阪は喜んで立って飲む」で紹介された大阪の立ち飲み店の写真(モビディックブックス提供)
「大阪は喜んで立って飲む」で紹介された大阪の立ち飲み店の写真(モビディックブックス提供)
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 立ち飲み店をとらえたユニークな写真が表紙を飾る韓国書籍「大阪は喜んで立って飲む」が、韓国で人気だ。韓国人旅行者でにぎわう大阪で、驚くほど安い価格でつまみと酒を提供する立ち飲み店を中心に大衆的な飲食店やスポット約100カ所を紹介。韓国では酒は座って飲むもので、立ち飲み店は皆無に近い。著者の朴贊逸(パク・チャニル)氏(54)は同書で「立ち飲み店は大阪の飲み屋の心臓」と記す。(張英壽)

食い倒れのまちを取材

 朴氏はイタリア料理のシェフでもある異色の作家。同書で、大阪で飲みながら続けた取材の思い出をつづっている。翻訳してみる。

 「数十回にわたり取材は続いた。限界まで飲み、記憶がなくなって記録できない店が多かった。再び行った。季節が変わるとまた行った。20日ごとに旬の食べ物が変わるというつまみをしっかりと見た。酒飲みの天国、ひたすら酒を飲むことで存在を確認しようとするような大阪の人々。(中略)

 私は異邦人として、少し離れたところで酔った。(中略)だれかが私の酒代を代わりに払ってくれ、頼んでもいないつまみが出てきた。あっちのおじさんが払ったんでしょう。彼らは微笑した。それだけだった。返さなくていい、純粋な酒飲みの情。われわれがかつて分かち合っていたが、今や失ってしまった肩を寄せ合う心。それを探す旅が大阪で始まったわけだ」

日韓の飲み方の違い

 日韓の酒の飲み方の差は立ち飲みだけでない。日本の立ち飲み店や居酒屋では、1人で来る客は普通だが、カウンターが設置されていないことが多い韓国の店ではほとんど見られない。

 最近「ホンスル」という一人酒を表す造語が流行しているが、珍しいからこそ言葉がつくられたといえる。テーブルごとに数人が座って仲間内で楽しみ、隣のテーブルとのコミュニケーションはほとんどない。

 また韓国の「アンジュ」と呼ばれるつまみは、日本の立ち飲み店や居酒屋のように数百円の単価で少しずつ出てくるものではない。一品数千円で、ある程度の量が提供され、テーブルで数人が分け合って食べる。日本人も韓国人も酒が好きだが、文化がかなり違う。

 朴氏は大阪の立ち飲み店を紹介する章の前書きで、「500円でつまみ1、2品と酒1、2杯が出てくる飲み屋がどこにあるというのか。テーブルを置いた店では到底不可能な価格。立ち飲み店だから可能だ」と記述。横や向かい側の客との会話の楽しさにも言及したうえで、「われわれにはなぜ立ち飲み店がないのか。大阪で一番うらやましいのが、それだ」と書いた。

旅行本ランキング1~2位に

 出版元の「モビディックブックス」(ソウル市)によると、同書は1月30日に出版され、大型書店の旅行部門の売れ行きランキングで1~2位に輝いたという。韓国語のインターネット上には、本を紹介した記事も多く見られる。

 同社の鄭基榮(チョン・ギヨン)代表は「大阪の料理を紹介した出版物は多かったが、お酒を前面に出した本はなかった。立ち飲みは韓国人にとって新鮮で、そのことが受けたのではないか」と振り返る。

 同書では、1店ずつメニューや雰囲気を詳しく記しているが、写真がふんだんに使われているのも特徴で、大阪の路地に迷い込んだような気にさせてくれる。料理だけでなく、韓国では見られない飲みながら文庫本を読む客の姿や、大勢の客が屋外で立って飲む様子、狭いカウンターで客たちが憩う場面など、韓国人の視点でとらえた写真が並ぶ。

 約100店を紹介した同書で朴氏が「断言するが、大阪最高の立ち飲み居酒屋」と絶賛したのが、大阪市西区の「わすれな草」。

 店主の井戸本太子(たいし)さん(44)は料理について「妥協はしたくない」と自信をみせる。副店長の佐藤和人さん(44)は「韓国のお客さんは以前は週1回来るくらいだったが、ほぼ毎日10人くらいが来るようになった。韓国人のお客さんは周りのお客さんがほうっておかず、英語や日本語でフレンドリーになっていますよ」と教えてくれた。

 次回は著者の朴氏のインタビューをお届けします。

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