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【夕焼けエッセー】一人の食事

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 妻が亡くなってからの生活は一変しました。ごく自然な当たり前のことがこんなに大変なこととは思いもよりませんでした。夏物や冬物の衣類の置き場所とか洗濯の仕方とかが、一事が万事大変と言うだけでは済まされない日々でした。趣味の会の友人やご近所の方はみんな同じことを言います。

 まず力を落とさないようにとか、頑張ってねとか、よく食べるのよ、良く睡眠をとってね、と言って励ましてはくれています。みんなうれしいのですが私には馬耳東風であり自然の流れに沿うようにしか生きられないのです。毎食事の時は仏壇にも一口ずつ供えて声をかけてから一緒に食べるようにしております。今日は寒かったねとか、いつも同じようで御免ねと話すことで心が落ち着きます。そして私にはいつも欠かせないものが一つあります。それは妻が大好きなカサブランカの花です。満開の花びらを見ると妻の笑顔が目の前に浮かんできて何かホッとします。

 外で食事をすることもありますが妻と一緒に食事をしたことが常に思い出されて早々に帰宅します。一人になっても妻の前での食事が一番おいしいです。

 子供たちは女の子が二人ですが近くにいて、おじいちゃんが一人では心配とかで時々来てくれます。「もういい」と言いますが内心はうれしく思っています。こんな素晴らしい子供に育ててくれた妻に感謝をしております。私の寂しさも少しずつほぐれて一人の食事を楽しみます。お母さんありがとう。

益子明(77) 堺市北区

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