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「怠け者」が作った卓球Tリーグの功績 スポーツ記者リポート

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卓球Tリーグのファイナル試合が行われた会場=17日、両国国技館
卓球Tリーグのファイナル試合が行われた会場=17日、両国国技館
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 17日の東京・両国国技館。土俵ではなく卓球台が置かれた大相撲の聖地で、卓球の新リーグ「Tリーグ」の初代王者を決めるファイナルが行われた。男子は張本智和(15)や水谷隼(じゅん)(29)を擁する東京、女子は早田ひな(18)や平野美宇(みう)(18)らの日本生命が優勝。笑顔で表彰式に臨む若い選手たちを、リーグ創設に奔走した松下浩二理事長(51)は万感の思いで見つめていた。

 松下理事長は日本卓球界の先駆者だ。カット主戦型として1993年に日本初のプロ選手となり、2009年に現役を引退。その間、バルセロナ五輪から4大会連続出場を果たし、1997年世界選手権男子ダブルスでは銅メダルを獲得するなど競技の第一線を走り続けてきた。

 「現役が終わってからを考えたとき、日本の卓球界発展のためにプロリーグを作りたかった」。Tリーグの構想を練り始めたのは、スウェーデンのプロリーグでプレーした20代のときだという。その後、プロの勉強を兼ねてドイツに渡り、ブンデスリーガに出場した。「僕は怠け者なので楽をして生活したいタイプ。でも、やらなければいけなかった」。日本の選手が世界で勝っていくために必要なこと-。今月上旬のインタビューで、静かな語り口に熱い思いを感じた。

 今回優勝した男子の張本や水谷、女子の平野は3月現在で世界ランキング10位以内に入り、4月の世界選手権個人戦(ブダペスト)に出場する。松下理事長は「その他の選手たちは国際大会で上位までいかないと当たれない選手と試合できる。世界トップの技術を肌で感じ、盗むこともできる」とリーグの意義を語る。神奈川の14歳、木原美悠(みゆう)は1月の全日本選手権女子シングルスで2位になった際、「Tリーグで強い選手に勝てたことが自信になっている」と手応えを口にした。

 一方、松下理事長は「リーグ運営に手一杯で、チケット販売に力が入れられなかった」と反省も口にする。レギュラーシーズン84試合の平均入場者数は約1200人。目標の2千人を下回り、地方開催の試合では約500人の日もあった。だが、まだ1年目。Tリーグは始まったばかりだ。(岡野祐己)

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