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【エンタメよもやま話】中国のC-POPがK-POPを打破し、世界を席けんできるか…

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韓国・ソウルでパフォーマンスするTWICEのメンバー=1月23日(ゲッティ=共同)
韓国・ソウルでパフォーマンスするTWICEのメンバー=1月23日(ゲッティ=共同)

 今週ご紹介するのは、エンタメど真ん中の“音楽”のお話です。

 産経ニュースの昨2018年1月25日付の本コラム「K-POPは『悪しき伝染病』」世界のメディアが糾弾、その背景は」でご紹介したように、米国でも大人気のヒップホップグループ、BTS(防弾少年団)や、昨年末の「NHK紅白歌合戦」にも出場した女性9人組のグループ「TWICE(トゥワイス)」のように、人気の「K-POP」(韓国の大衆音楽)。しかし、K-POPは今、逆風にさらされているともいわれています。K-POP勢の快進撃の前に立ちふさがる新たなライバルが勢力を増しているからです。そのライバルとはC-POP。Cは中国(China)のCで、中国や香港、台湾の歌手やバンドなどの総称なのですが、K-POPに続き、人気を集める勢いだというのです。

 というわけで、今回の本コラムでは、C-POPの現状についてご説明いたします。

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■あの「スポティファイ」の4倍、どっと8億人…

 いつものように本コラムのネタ探しで各国のメディアの電子版を巡回していて、この長文の記事に目が止まりました。

 「C-POPは次の(時代の)K-POPですか? 中国の音楽は世界のヒットチャートでばく進するかも知れない-(中国の)バンドが本気でそれに挑むのであれば」との見出しが付いた、2月27日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)の電子版です。

 この記事はまず「米国で成功するという考えは他の西側諸国にとって長年の夢だった。しかし、最近、BTS(防弾少年団)や(女性アイドルグループの)ブラックピンクのような K-POPグループの成功は、世界の向こう側からやってきたアーティストが米国のチャートでヒットを出せることを示している」と説明しています。

 そして、「とはいえ、米国が文化的な覇権を掌握できなくなり、韓国やラテン音楽勢のヒットチャートが上昇するなか、専門家の中には、中国のポップアーティストはどこにいるのか?と質問するものもいる…」

 「しかし、その答えはシンプルである。現時点で、中国にはC-POPをグローバルな存在にするためのいかなる経済的支援も必要ない。(中国は)世界2位の経済大国であり、自国でエンターテインメント産業も有している。中国のネット企業大手テンセントが有するQQミュージックやWeSing(ウイシング)といった4つの音楽配信サービスを利用する月間ユーザー数は計8億人。欧米で最もポピュラーな音楽配信サービスのスポティファイは2億700万人である」

 さらに、国際レコード産業連盟(IFPI)の集計を引き合いに出し、中国の音楽産業は2017年、前年比35・3%増の2億9200万ドル(約320億円)を生み出し、世界で10番目に大きな音楽市場であるとしたうえで、香港の人気女性シンガーソングライター、G.E.M.ことタン・チーケイや、台湾の女性歌手ジョリン・ツァイ、中国の女性歌手ジェーン・チャンといったC-POPのスターたちの楽曲は既に西洋の音楽ファンにアピールするようなサウンドを構築しているなどと解説しています。

 映画の分野でも米ハリウッドで中国が大きな影響力を発揮した数々の事例を挙げ、欧米市場におけるC-POPの将来性の高さを強調しました。

 このSCMPの記事からは、大衆音楽の分野で近い将来、中国の存在感が欧米で増すという自信がにじんできます。

 最大の理由として、このSCMPは「欧米の音楽市場での成功は依然として手にし難いが、英語という言語を使った音楽の優位性が弱まり始めるにつれ、(現在の)状況が変わる可能性がある」と指摘。「K-POPやラテンポップが米のヒットチャートのトップに駆け上がるにつれ、米の音楽市場における言語の障壁が打ち破られ続けてきた。C-POPは成功の瞬間をつかむ機会をうかがっている」と分析しているようです。

 米では昨年、中国の男性歌手で、男性K-POPグループ、EXOのメンバーでもあるレイの昨年発売のアルバム「NAMANANA(ナマナナ)」が米のチャート(米ビルボード誌集計)で最高位21位を記録。標準的な中国語(マンダリン)による大衆音楽「Mando-pop(マンド・ポップ)」で最高の成功を獲得したとしているようです。

 また、同じEXOの元メンバーで、中国系カナダ人の男性歌手、ウー・イーファンの昨年発売のデビューアルバム「アンタレス」の収録曲が、米アップルの音楽配信サービス「アイチューンズ」の米チャートで上位を独占するも、中国のファンによる不正疑惑が浮上する騒ぎが起きたことや、中国の男性ヒップホップグループ4人組、ハイヤー・ブラザーズの2017年のヒット曲「メイド・イン・チャイナ」が、米大手ケーブルテレビ局「HBO」製作のドラマ「シリコンバレー」のエンドクレジットで紹介されるなど、いろんな意味でC-POPが米で存在感をぐんぐん高めているといった論調で説明しているようです。

 確かに、13億3800万人(2017年時点)という人民が支える超巨大市場、中国が本気を出せば、米ハリウッドの娯楽大作の有り様が変わったように、世界の音楽市場の流れが変わるのは確実でしょう。

 しかし、このSCMPは、問題点も指摘しています。中国当局のネット対策です。中国ではフェイスブックやツイッター、そして、音楽業界でも重要な役割を担う動画投稿サイト、ユーチューブまでが当局によって接続をブロックされているという話を聞きます。そうした中国当局の措置を「C-POPがを世界に広めるにあたり、最大の阻害要因になっている」と指摘しています。「交流サイト上でのアーティストとファンとの結びつきが、(国境を越えた)K-POPのクロスオーバー的成功の礎となっており、中国のアーティストが合法的に同じ交流サイトにアクセスできない場合、世界中のファンと結びつきを得ることは困難である」としています。世界の音楽産業における中国の今後が気になります。     (岡田敏一)

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【岡田敏一のロック講座】アンコール企画・「ボヘミアン・ラプソディ」とクイーン

 1970年代から80年代に活躍した英国の音楽ロックバンド、クイーンの成功と葛藤を描く伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」が日本でも興行収入100億円を超える異例の大ヒットを記録中です。

 このロック講座では、平成29(2017)年12月に「クイーンよ永遠に その栄光と悲劇」と題した講座を開催しましたが、今回の映画の社会現象化で若い世代にもファンが急増している現状を受け、アンコール企画として、映画にまつわる裏話などを中心に、再度クイーンの魅力について掘り下げます。

 講師は音楽誌「レコード・コレクターズ」( http://musicmagazine.jp/rc/ )の常連執筆者で、元ロサンゼルス支局長として米の映画・音楽業界を取材した産経新聞文化部の岡田敏一編集委員。30人募集。産経iDのサイト( https://id.sankei.jp )からお申し込みできます(産経iDは登録が必要です。入会金・年会費は無料)。

 ■時と場所 3月30日(土)午後2時~3時半、サンケイカンファレンス大阪桜橋(大阪市北区)

 ■参加費 2800円

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 【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュース( https://www.sankei.com )で【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

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 ■毎週、日本を含む世界のエンターテインメントの面白情報などをご紹介します。ご意見、ご要望、応援、苦情は toshikazu.okada@sankei.co.jp までどうぞ。

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