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小学校卒業式のはかまに賛否 華美か伝統か

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小学校卒業を控えた子供向けにはかまを取りそろえる京都さがの館。担当者は「人気が出てきて年々申し込み時期が早まっています」=京都市中京区
小学校卒業を控えた子供向けにはかまを取りそろえる京都さがの館。担当者は「人気が出てきて年々申し込み時期が早まっています」=京都市中京区
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 卒業式シーズンの3月。晴れやかなはかま姿の大学生-だけでなく、小学校の卒業式でもはかまを着る児童が増え、賛否両論が巻き起こっている。ある都市の教育現場は「華美を競うことは望ましくない」と頭を悩ませるが、「かつての女学生の制服であり、守るべき伝統だ」と訴える着物業者も。果たして論争の行方は-。(木ノ下めぐみ)

■学校「華美望まず」

 「華美な色彩の袴(はかま)や着物、洋服等を着用して式に参列する傾向があり(中略)華美を競うことは望ましくない」

 大阪府東部のある公立小学校。平成29年から、全学年に配る「学校だより」で、校長が卒業式の服装に関する学校側の見解を述べている。「慣れないはかまの帯が邪魔でうまく着席できない」というケースはまだしも、「高いヒールの靴をはき、歩けなかった」となると見過ごしにくい。

 掲載以降、はかまは減少したが、ゼロにはならなかった。「歩く練習をさせる」と着用“強行”を訴える保護者もいたが、体育館シューズ着用の統一で決着した。

 「はかまやヒールが絶対だめということではないが、卒業式は最後の『授業』。ふさわしい振る舞いができる格好で」と、この校長は苦言を呈する。

 この校長が心配するのは格差だ。過去に、卒業式の衣装を用意できず、式を欠席するという教え子にやむなく衣装を貸した経験がある。「何を着るかは関係ない。どんな服装でも、胸を張っていい顔で式に出てほしい」と訴える。

 教育委員会はどう受け止めるのか。大阪市教委は「それぞれ受け止め方が違うので、学校長の判断に委ねている」。「髪飾りや服の色合いなど華美な服装は控えてほしいが、はかまイコール華美ともいえない」(京都市教委)との意見もあった。

■子供に選ぶ権利

 「日本の伝統である着物に子供たちが触れるいい機会なのに、学校側がその機会を奪うのはおかしい」

 京都さがの館などを運営する着物レンタル大手「京繊」(京都市)の田中元子社長は訴える。

 関西コレクションで小学生モデルにはかまを着用させたところ、卒業シーズンのはかまレンタル申し込みが急増した。

 「多くの人に着てもらえるよう、レンタル価格の下限は約1万6000円にし、価格帯も幅広い。服装の格差があるのは洋装と変わらないし、選ぶ権利は子供たちにあるはず」

 同社は、レンタルを申し込んだ保護者に着付け教室を無料で開く取り組みも実施。田中社長は「学校や家庭で着物に触れる機会がもっと増えれば、トラブルも減る。文化がなくなれば復活させるのは困難だ。前向きに文化継承を議論してほしい」と訴える。

 はかま姿での写真撮影を長年行ってきているスタジオアリスも、29年12月から全国で「貸し出し」を展開。関西地域でも、着て外出するためのレンタル申し込みが、昨年度比1・5倍になった店もあるという。

 同社の担当者も「情報が豊かになり、かつてはなかったはかま、という選択肢が増えた。どういう服装で式典に臨むか、子供自らが選ぶ時代」と話している。

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