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西日本豪雨7カ月 止まらぬ人口流出 岡山・広島の被災地

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西日本豪雨の影響で閉店し、更地になったドラッグストア跡地=4日午後、広島県呉市安浦町地区(猿渡友希撮影)
西日本豪雨の影響で閉店し、更地になったドラッグストア跡地=4日午後、広島県呉市安浦町地区(猿渡友希撮影)

 西日本豪雨で大きな被害を受けた地域で、豪雨発生から7カ月が経過した今も、人口流出が続いていることが7日、各自治体への取材で分かった。岡山県倉敷市の真備町(まびちょう)地区では豪雨前に比べ約2千人、広島県呉市も約1500人が転出した。「また災害に襲われたら」という恐怖心が消えないことに加え、生活に欠かせないスーパーの撤退などが背景にあるという。

 51人が死亡、約5600戸が浸水した倉敷市真備町地区は、近年の人口は横ばいで、平成30年6月末は2万2797人だった。しかし、豪雨以降に流出が相次ぎ、9月末で1591人減の2万1206人に。3カ月経過した昨年末にはさらに388人減少し、2万818人になった。地区内では、スーパーやホームセンターが相次いで撤退している。

 土砂災害や浸水で約3千戸が住宅被害に遭った広島県呉市も、30年6月の人口は22万6405人だったが、昨年末までに1483人が転出して22万4922人まで減少。大規模な土砂災害に見舞われた同県坂町(さかちょう)でも、昨年6月の1万3354人から294人減少し、1万3060人になった。町内のスーパー2店舗は、人口減少の中で以前ほどの売り上げが見込めるか分からず、再開を見合わせている。

 住民票を移さずに転居しているケースもあり、実際に被災地から離れた人はさらに多いとみられる。

スーパー撤退… 故郷が廃れていく

 昨年7月の西日本豪雨から7カ月。広島県や岡山県の被災地でスーパーをはじめとする商業施設の撤退が相次いでいる。復旧に多額の費用がかかる上、営業を再開しても以前のような売り上げが見込めないのが理由だ。生活の利便性が失われれば、人は街を離れる。識者は行政による支援の必要性を訴えている。

 2月上旬、西日本豪雨で約760戸が浸水被害に遭った広島県呉市の安浦町地区。街を覆っていた土砂は撤去されたが、今も車が通ると砂が舞い、薬局や飲食店があった場所が更地になっているのが目立つ。

 JR安浦駅近くの商業施設「ゆめマート安浦」も、2階建ての建物はそのままだが、中は真っ暗で周辺にロープが張られていた。

 生鮮食品や日用品、衣類までそろう同店は住民に不可欠な存在だったが、豪雨で1階部分がほぼ水没。商品は泥にまみれ、冷蔵庫などの設備も壊れた。再開も検討されたが、昨年11月に撤退が決まった。運営会社「イズミ」(広島市)の担当者は「設備投資費用などを考え、採算が取れないと判断した。長年愛された店で存続したかったがやむを得なかった」と説明する。

 「店がなくなって人が離れていけば、子育てにも影響がありそうで不安」。2歳と5歳の子供がいる小学校教諭、梅野香織さん(35)はこう打ち明けた。呉市は今月から、中心部から離れた別のスーパー前にバス停を設置するなどの対策を始めた。

 人口流出が激しい岡山県倉敷市真備町地区では、天井まで水没したスーパー「Aコープ真備店」が営業を再開しないまま昨年9月に閉店した。運営会社「Aコープ西日本」(広島市)の担当者は「建て替えが必要な上、人口が減る中で客足が戻るか分からなかった」と話す。

 同地区では病院や歯科医院計17施設も被災したが、通常診療に戻ったのは半数にとどまっている。

 兵庫県立大大学院の室崎益輝(よしてる)教授(防災計画学)は「生活再建しようとする被災者らにとってスーパーの存在は重要で、真っ先に整備する必要がある」と指摘。「災害後に商店が赤字になるのは仕方がない。以前の客足に戻るまで行政が経済的支援をするなど手を打つ必要がある」としている。(猿渡友希)

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