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大量の災害投稿、AI使い集約 神戸市も導入検討

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実証実験で使われたLINE上での「チャットボット」とのやり取りの画面(神戸市提供)
実証実験で使われたLINE上での「チャットボット」とのやり取りの画面(神戸市提供)

 災害時、大量に投稿される会員制交流サイト(SNS)の情報を人工知能(AI)で集約し、自治体が災害の把握に活用する動きが広がっている。阪神大震災を経験した神戸市も昨年末、無料通信アプリ「LINE(ライン)」への投稿から、建物倒壊や火災などの被害情報を地図上で可視化する実験を実施。将来的には市民との情報共有に生かすことも視野に、導入を検討している。(岡本祐大)

 神戸市の実験には市の防災・消防担当者のほか、国立研究開発法人「情報通信研究機構(NICT)」の研究員らが参加。LINE上でAIが自動で投稿をやり取りするプログラム「チャットボット」を使い、阪神大震災と同じ被害が起きた想定で行った。

 「市民」役の職員にチャットボットから「被害について教えてください」とのメッセージが届く。「三宮駅前の商業施設が崩れている」「ボウリング場が倒壊して通行が危険」-。職員が画像とともに被災状況を返信すると、市危機管理センターにはスマートフォンの位置情報をもとに各地の被害が集約されていった。

 パソコンの地図上には、どこで建物が倒壊したか、火災が何件起きたかなどの情報も表示。1時間半の間に処理された情報は、2815件に上った。市危機管理室の担当者は「震災当時は状況を伝えるメモがさばけず、次々にたまっていった。現地写真もあるSNS情報をAIで処理すれば、一瞬で全体像を把握できる」と手応えを口にする。

 災害時の情報収集ツールとしてSNS投稿を活用しようとする研究は、平成23年の東日本大震災を受け、NICTなどが24年から進めている。東京都など自治体と協力して実験を重ね、防災訓練でも用いられている。

 内閣官房のまとめでは、情報収集にSNSを活用する自治体は28年9月時点で11だったが、29年11月には22に倍増。ほかに78の自治体が導入を検討している。内閣官房は自治体向けにSNSの活用方法をまとめたガイドブックも公表しており、「昨年は災害が相次いだこともあり、検討する団体は増加していくだろう」(担当者)とみる。

 一方、SNSには真偽不明な情報やデマも混じっている。NICTは大分県と行った訓練で、意図的に矛盾する投稿をして、職員がどう対応できるかを検証した。大竹清敬上席研究員は「実験を重ねることでAIが学習して精度向上につながる上、自治体職員にとっても運用の習熟につながる」と期待している。

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