PR

【橋本奈実の芸能なで読み】今年は「ベルサイユのばら」45周年

PR

元宝塚歌劇団トップスターで在団中に“ベルばら”のオスカルを演じた榛名由梨(前)と朝海ひかる(後)
元宝塚歌劇団トップスターで在団中に“ベルばら”のオスカルを演じた榛名由梨(前)と朝海ひかる(後)

 新年です。今年、宝塚歌劇団の代表作の1つ「ベルサイユのばら」が45周年を迎えます。昭和49年夏の初演が大ヒット、“ベルばら”ブームに。再演を重ね、「昭和ベルばら」「平成ベルばら」「21世紀ベルばら」「100周年記念ベルばら」と節目に上演されています。

 原作は、池田理代子さんの名作漫画。革命前から革命前期のフランスを舞台に、仏王妃マリー・アントワネットとスウェーデン貴族のフェルゼン、麗しい男装の軍人オスカルと影のように仕えるアンドレの人生を軸に描かれています。

 旧年中、歴代オスカルである、宝塚の元トップスターのお二人を取材する機会がありました。「初代オスカル」で再演ではアンドレも演じた榛名由梨(はるな・ゆり)さんと、「21世紀ベルばら」の平成18年公演でオスカル役の朝海(あさみ)ひかるさんです。

 原作は熱烈なファンを持つ。榛名さんによると、初演の幕が上がるまで否定的な声も多かったそう。「最初は本当に不安でしたよ。オスカルはヒーローであり、ヒロインなので。でも私は男役演じてきたけれど、女性なので。彼女の軍人としての凛々しさと、恋心を表現できる、と信じて演じていました」

 そして“見た目”にこだわった。初演を演出した故・長谷川一夫さんから「劇画に似せて描きや」と言われた榛名さん。オスカルの顔がアップで大きく描かれてた原作のページを手に、眉毛やアイラインの細さや角度などを研究したそう。

 カツラやロングブーツの種類や質が今ほど充実していない時代。スタッフが創意工夫を重ね、一から作り上げてくれた。金髪のカツラは直毛で、公演ごとにスタッフが巻き、カールを仕上げてくれていたとか。

 「でも戦闘のシーン後は、汗と熱気でまっすぐに(笑)。フィナーレまでに巻き直しくださっていた。今はカツラも軽いし、パーマでしょ。うらやましい」

 劇画の巨大パネルから登場する演出でした。「すごいプレッシャー。『引っ込め』と言われるかも、という不安をずっと持っていたので。初日は舞台裏で膝の震えが止まらなかった」。それゆえ、初日のことはあまり覚えていないという。

 「数日後、楽屋を出たら“オスカル”って叫ぶ子がいて。反響を実感しました。うれしかったです」。移動時には警護が付いたほどのブームとなりました。

 榛名さんは「平成ベルばら」から演技指導にも入られています。「私が長谷川先生に教わったこと、会得したことを伝える作業です」。演技はもちろん、経験者だから分かる衣装の着こなし、化粧などもアドバイスを送っているという。

 近年、歴史ある作品であるがゆえの悩みも出てきたとも。「コスチュームプレイだけれど、あくまで心があるから、その型になる。型から入ったらあかん。今の人は、振り付けみたいに動きがちで、それは違うと強く言います」

 一から作り上げた「昭和ベルばら」とは異なり、今は偉大な先輩が演じてきた手本がある。「多分、理想郷が見えているので、すぐその“絵面”に向かってしまい、どうしてそうなるのか、という、もっとも大事な“心”が抜けがち。すべては役の気持ちがあってこそと伝えています」

 まさにその苦労を、歴史をつないだ一人の朝海さんが語っていました。「すでに出来上がったベルばらの型を、心を持って体現するのは難しかったです」。オスカルとアンドレの名場面「今宵一夜」。一連の動きは全て型が決まっているという。「すごく美しい場面ですが、実はオスカルはとてもとても苦しい体勢(笑)。そこで甘い空気を出すのは大変でした」。

 朝海さんは、榛名さんの「ベルばらは宝塚の教科書のような存在」という言葉に感銘。「本当にそうですね。椅子のすわり方や立ち方から、マントなど衣装のさばき方までベルばらに出演して教わることは多い。男役、娘役それぞれが大事なことを学べる作品です」

 そんなお二人も主演する、上演45周年記念イベント「ベルサイユのばら45~45年の軌跡、そして未来へ~」(監修・植田紳爾氏、構成・演出、谷正純氏)が27~2月9日、東京国際フォーラムホールC、2月16~24日に梅田芸術劇場メインホールで上演されます。

 舞台は、名曲やトーク、名場面のダイジェストで構成。公演がわりで初風諄さん、汀夏子さん、安奈淳さん、麻実れいさんら多くの元トップスターや元娘役トップが出演。ほか卒業生や現役生も出演します。

 「昭和ベルばら」は全国ツアーも行い、榛名さんによると、その舞台を見て宝塚を目指した人が、「平成ベルばら」のスターたちとなったそう。「きっと今回のイベントで、宝塚に初めて触れる人もいる。こういう世界がある、と知っていただけき、ファンや目指す方が増えたら、宝塚は永久に不滅。平成最後の種まきをします」と榛名さん。

 実は記者の宝塚観劇デビューもベルばら。主演の杜けあきさんがアンドレ、一路真輝さんがオスカルを演じた公演です。熱心な宝塚ファンの同僚に誘われ、「一度、見てみよう」と初めて宝塚大劇場へ。旧大劇場には客席内に大きな柱があり、同僚が見やすい座席を選んでくれたこと、舞台を見て「女性なら絶対に心ときめくだろうな」と感じたことを思い出します。

 宝塚人気により、残念ながらその後、観劇の機会を持てませんでした。そんな自分がまさか時を経て、宝塚担当をするとは、ベルばらの記事を書いているとは。本当に不思議なご縁です。何が契機になるか、分かりません。少しでも興味のある方は、イベントをのぞいでみてくださいね。

この記事を共有する

おすすめ情報