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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】苦戦続き、来季の展望に懸念

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【阪神対DeNA】8回、選手交代を告げる阪神・金本知憲監督=9月27日、甲子園球場(山田喜貴撮影)
【阪神対DeNA】8回、選手交代を告げる阪神・金本知憲監督=9月27日、甲子園球場(山田喜貴撮影)

 金本知憲監督(50)の来季続投意欲が場合によっては減退する可能性があります。阪神は130試合消化時点で58勝70敗2分の借金12。CS圏の3位・DeNAとも3・5ゲーム差の5位で崖っぷちです。苦戦続きの現状の上、来季展望にも懸念が生じています。26日に行われた球団首脳のオーナー報告会では指揮官が求める浅村(西武)らFA補強についてゼロ具申ゼロ回答。さらに10月25日のドラフト会議で即戦力投手を求める鉄人プランも“却下”の雲行きです。「来季が勝負」とする金本監督はこれらをどう受け止めますかね。

大型連戦と相次ぐ故障者

 まさに地獄の大型連戦になってしまいます。130試合消化時点で58勝70敗2分の借金12、CS圏の3位・DeNAとも3・5ゲーム差となった阪神はここから巻き返す、という希望的観測をとても見いだせない状況です。ズルズルとどこまで負けるのか…。先に立つのは危惧や不安ばかりですね。

 残り13試合はすべて連戦。先発投手陣が苦しい上に、北條、原口、藤川球児ら投打に故障者が続出して、戦力ダウンも招いています。27日のDeNA戦(甲子園球場)も3ー4と破れて、本拠地・甲子園球場での成績は19勝35敗2分。甲子園球場での最多敗戦は1995年の38敗(23勝)ですが、暗黒時代のワースト記録に後3敗で並びますね。試合後の金本監督のコメントも短くなる一方ですが、敗軍の将兵を語らず…というか、語るべきポイントも見当たらないようになってきたのかもしれません。まさに暗黒再来…です。

 しかし、金本監督は昨年オフ、2015年オフの監督就任時に球団と締結した2年契約が終了し、新たに3年契約(年俸2億円)を結びました。今季がダメでも契約上は後2年あるのです。どんな苦しい事態となっても前を向き、厳しい戦いを勝ち抜けなければなりません。

 特に来季はチームの内外で「勝負のシーズン」と位置付けられていますね。契約上は後2年ありますが、監督として都合4年目の来季は「最低でも優勝争い」が義務付けられているのは監督も自覚しているはずです。だからこそ、このコラムで書き続けているように球団首脳に対してオフの大型補強(FA補強)やドラフトでの即戦力投手の1位指名を渇望しているわけです。

 特にFA補強では浅村(西武)を筆頭に中田翔(日本ハム)らの名前が浮上しています。来てみなければ力量も日本の野球に適応するかも分からない新外国人野手をアテに出来ないことは、今季のロサリオの失敗で痛感しています。だからこそ確実に戦力アップが望めるFA補強を求めているわけですね。実際、昨季はオリックスからFA補強した糸井が活躍してチームを2位に引き上げました。成功体験もあるのです。

 ところが、まさかまさか、の展開です。球団首脳は26日に坂井信也オーナーら阪神電鉄本社首脳にシーズンの現状報告を行いました。当然ながら来季に向けた再建策も話し合われ、監督が求めるFA補強についての突っ込んだ議論が行われる、と思っていました。それがフタを開けると球団首脳からFA補強への具体的な具申もなければ、本社側からFA補強を進めよ…とする指示もなかったのです。

 もし浅村(西武)、丸(広島)、中田翔(日本ハム)らFA資格者を獲得に向かうならば、もうすでに獲得調査に乗り出しておかなければならない時期です。それが26日の時点でゼロ具申ゼロ回答ー。これではFA補強は無理です。というか、この流れは完全にFA補強に背を向けていると言い切ってもいいですね。

 さらに、金本監督は10月25日のドラフト会議での1位指名についても即戦力投手を希望しています。当然ですね。今季はメッセンジャーこそ計算通りに働きましたが、先発ローテーションを期待した秋山、藤浪が不振で小野や岩貞も不安定なマウンドが続きました。来季を見通しても、メッセンジャーの年齢は38歳になります。秋山や藤浪が復活する保証はどこにもなく、先発投手の駒不足は容易に予想できます。

 球団側はマテオ、モリスらの契約解除を視野に入れ、先発型の新外国人投手を2枚、獲得する方向のようですが、それでも不安は残ります。新外国人投手が本当に日本の野球に適応するのか? まさにロサリオの投手編ですね。こうした背景から現場サイドが望むのは東洋大・甲斐野投手ら、なのですが、現時点でのドラフト1位最有力は大阪桐蔭の藤原か根尾。

 「本社サイドの意見を漏れ聞くとドラフトは長期ビジョンに立って戦略を練らなければならない、と話しているそうだね。視線の先にあるのは将来性豊かな藤原であり根尾なんだ。ドラフト戦略は基本的に球団マターだから、この流れは変わらないだろう」とは阪神OBの話です。

 となれば、ドラフト戦略でも金本監督の願いは叶わないことになりますね。では、どうするのでしょうか。

 ひとつの道理は通ります。2015年に金本阪神が誕生した際、本社ー球団は「生え抜きの若手選手を育成して常勝チームを築きたい」と“骨太の方針”を打ち出しました。あくまでも外部からの大型補強に頼らず、ドラフトで指名した選手を育て、チームの幹にする…という3年前の大方針はチームがBクラス転落でもいささかも揺らがない!! とチーム内外に説明し、その結果責任はオーナーら電鉄本社首脳が取る、と言うなら、それもひとつの進む道かもしれませんね。

 しかし、阪神を取り巻く環境がそれを許してくれますか。今季も250万人以上のファンが甲子園球場に通い、チームに温かい声援を送り続けてきました。それでも甲子園では19勝35敗2分ですね。ずいぶん悔しがらせてしまいました。

 それでも大幅な戦力補強もせず、年が明ければ全てをリセットしたかのように「今年こそ優勝を目指します」とぶち上げられても、目の肥えた阪神ファンはどう思うでしょう? 結局、勝てないストレスが向かう先はどこですか? マスコミやファンは金本監督の責任を猛烈に追及するでしょう。そうした将来が見通せるから、金本監督も大補強を要望しているのかもしれません。

 ただ、現状の流れは現場の願いとは真逆に進んでいるでしょう。こうした事態を金本監督はどう理解し、来季に向けた闘志に転化させるのでしょうか。場合によっては続投意欲が減退する心配も出てきた、と言えば、それはあまりに飛躍しすぎた発想でしょうかね。

 そして、編成面の驚きの展開はまだ他にもあります。それは来週、タップリと書きますね。チームの成績が暗黒時代なら舞台裏の様子もまさに暗黒時代の再現となって来た、と言わざるを得ません。

植村徹也(うえむら・てつや) 植村徹也(うえむら・てつや)  1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )、に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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