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【誘客都市 ~IRが変える大阪~ 第3部(3)】夢洲IR波及効果6900億円 USJの教訓生きるか

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 大阪府・市が統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指す大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)から海を隔てて約2キロ。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)は目と鼻の先に位置する。年間1500万人規模の集客を誇るテーマパークは、IRを核とする観光開発でも大きな鍵を握る。

 府・市と関西財界が平成29年8月にまとめた「夢洲まちづくり構想」は、IRとUSJなどとの連携を通じて臨海部の魅力を高めるべきだと提言。府・市のIR推進会議座長を務めた大阪観光局の溝畑宏局長は、「大阪のすべてのプロジェクトにとってUSJとの協力は必要だ」と力説する。

 だが、そんなUSJも、かつては長い不振にあえいでいた時期があった。

相次いだ不祥事

 「多額の出資をしているのに、次々とつまらない不祥事を起こす。このままでは何のメリットもない」

 大阪市の第三セクターとして開業した翌年の14年、市職員はUSJの惨状をこう吐き捨てた。

 同年7月、信じがたい不祥事が相次いだ。21カ所の直営レストランで賞味期限切れ食材の使用が発覚。さらに水飲み器に工業用水を配管したり、人気ショーで許可量を超える火薬を使用したりと不正な運営実態が判明し、8月には警察が強制捜査に乗り出した。

 約1700億円の総事業費が投じられた運営会社ユー・エス・ジェイは、開業4年後の17年、多額の累積損失から産業活力再生特別措置法(産業再生法)の適用を受けた。同社は市OBが4代続けて社長を務めた“天下り先”。寄り合い所帯の経営陣は打開策をまとめられず、社内に「危機意識はなかった」(関係者)という。

 状況が変化したのは16年。米ユニバーサル社から社長を迎え、その後、市は保有株式を売却。米投資銀行傘下で顧客本位の改革を徹底した。その結果、入場者数は23年度から急増。関西大の宮本勝浩名誉教授の試算によると、USJの近畿圏への経済波及効果は今後10年で6兆2千億円に達する。

 夢洲にIRが実現すれば、USJをしのぐ恩恵が期待される。府などが昨年発表した試算は、年間8・3万人の雇用、6900億円の経済波及効果を見込む。

 だが、USJのように迷走する危険性はないのか。

「成功の姿」共有を

 国会で審議されているIR実施法案では、建設から運営まで一貫して民間企業が手がける原則で、初期のUSJのように行政の介入による混乱を招く余地はない。収益の中心となるカジノ部分は、売り上げから客の勝ち分を除いた粗利益のうち30%が国と自治体に納付金として徴収される。

 ただ、外国人の雇用比率が高まったり、資材の海外調達が増えたりすれば、国や地域のメリットは減少する。関西大の宮本氏は、IR運営業者と契約を結ぶ際、適正な利益配分がなされるよう細部まで入念に精査する必要があると指摘する。

 また、カジノ事業の納付金や夢洲開発の進展を、住民がメリットと感じるかどうかは分からない。

 東南アジアでIR開設に携わった経験を持つPwCコンサルティングの寺田匡宏氏は、「何が大阪IRの成功の姿なのかということを皆で共有する必要がある」と指摘。住民レベルで議論して新たな雇用機会やビジネスチャンスを積極活用すべきだと主張する。

 26年、ユー・エス・ジェイのグレン・ガンペル社長(当時)は産経新聞のインタビューで、カジノ以外のIR事業への参画に強い意欲を示した。国会でIR実施法が成立し、国内各都市の誘致合戦が本格化すれば、USJの動向が再び注目される可能性もある。

【インタビュー編】「事業者と『共生委』設置を」 関西経済同友会・福島伸一常任幹事

 ――カジノを含む統合型リゾート施設(IR)が大阪にできれば、どのような経済効果がもたらされるか

 「4つある。ひとつは、建設予定地である夢洲の開発。ぜひ関西企業に取り組んでほしい。ほかに、年間数百億円規模の税収や納付金、10万人規模の雇用効果、ローカルコンテンツの活用による中堅・中小企業のビジネス拡大-が期待される」

 ――IRに必要な高水準の資材、サービスを大阪で提供できるか

 「問題ない。たとえば神戸牛、松阪牛、近江牛がある。日本海の魚や、京野菜なども、外国人に人気の食材だ。IR業界で働く高度な人材は不足しているが、育成するチャンスでもある。IR事業者は大学と連携して人材づくりなどに取り組むべきではないか」

 ――どのようなIR事業者が大阪に進出すべきか

 「継続的に収益を上げて再投資すること。また関西に根付き、歴史や文化を理解し、社会と呼吸するような企業であるべきだ。IR事業者と地元関係者で『地域共生委員会』を作ることも有効だろう。大阪の弱点であるMICE(会議・展示会ビジネス)の発展も必要。そうした条件を(IR事業者の)募集要項に明記すべきだ」

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